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各国政府はソーシャルメディアをコミュニケーションツールの一環として活用しようとしていますが、その革新のスピードや多様性から、現段階でしっかりとしたガイドラインを提供できている国は余りありません。そこで、複数回にわたって、2011年11月にニュージーランド政府が発表した「Social Media in Government : High-level Guidance」をご紹介していきます。これは、現時点で数少ない実用的なガイドラインとなっています。
なお、パート①「ソーシャルメディアの分類」及び「1.サマリー」はこちらです。
■メディア業界の変革
国民がソーシャルメディアに費やす時間は、日々増えている。過去にテレビがそれまでのメディアを駆逐しなかったように、ソーシャルメディアも他と同様に正式で有効なメディアの一つである。そして、この新しいメディアをメインで使うのかサブ的に使うのかは、目的と対象者に応じて変わってくる。
メディア業界の変革が起きている今、各省庁を有効に運用するためにも、公務員はソーシャルメディアを理解し行動する必要がある。すなわち、近代的なコミュニケーション戦略の策定において、他のメディア同様にソーシャルメディアを無視することはできないのである。
■ソーシャルメディアとは?
ソーシャルメディアとは意見、体験や視点などを共有するための各種のオンラインテクノロジーの集合体であり、基本的には対話式となる。
ソーシャルメディアは、印刷物、テレビやラジオなどの伝統的なメディアと異なり、双方向のやり取りが生じる。すなわちソーシャルメディアは、政府と国民の「対話」である。これは、伝統的なメディアで確保されていた一定のコントロールの損失を意味するが、その一方で公衆との関与度合いの深化も意味する。良く練られた計画に基づき丁寧に導入されたソーシャルメディアによって、政府は高い透明性、公衆とのインタラクティブな関係、政策や公共サービスに対する当事者意識や国民の信頼性を得ることができる。
ソーシャルメディアが活用可能な分野は非常に広い。政府はソーシャルメディアを活用して、特定の問題に対する注目度を向上させたり、特定のグループからの信頼性を向上させたり、国民を政策協議へ参画させたりすることができる。また、省庁間や省庁内でのコラボレーションを向上させるコミュニケーションツールとして活用することも可能である。
このガイドラインは、各省庁がソーシャルメディアを活用すべきかの意思決定を支援することに主眼を置いている。また、このガイドラインは、あくまでも現段階のベストプラクティスであることに留意いただきたい。更に、当ガイドラインの読者や利用省庁においては、「一般常識」と「4.基本的な考え方」を常に念頭に置いて頂きたい。
あなたの組織は、理由も目的もなくラジオの広告にお金を払うだろうか? 想定する読者や言いたいことなどを整理せずにニュースレターの連載を始めるだろうか?
ラジオやニュースレターはコミュニケーションのチャンネルに過ぎない。ソーシャルメディアも同じだ。つまり、ソーシャルメディアのプロジェクトを始める前に、次のような事項を整理する必要がある。
もちろん、対象とする者が年金受給者の場合と10代の若者の場合では、ソーシャルネットワークの効果も大きく違ってくるだろう。ソーシャルネットワークはファッショナブルであるが、全てのオーディエンスに対して最適なコミュニケーションツールとは限らないのである。
■リソース
ソーシャルメディアの活用にあたっては、リソース計画が非常に重要である。あなたの省がブログを何カ月も更新せずに放置しておくと、組織としてまとまりがなく無能であるように見えてしまう。更新されないFacebookやTwitterについても同じことが言える。
ソーシャルネットワークに「クイックウィン」は存在しない。コミュニティの形成には長い時間がかかるものである。つまり、ソーシャルネットワークは長期プロジェクトであり、リソース計画にもそれを反映する必要がある。反対に、特定の政策を討議するフォーラムは、特定の期間しか運営されない。この場合にも、それをリソース計画に反映する必要がある。
リソースを算出する際には、ソーシャルメディアへ公に参画するかを考慮する必要がある。例えば、リソースをかけない活動であれば自省のウェブサイトにリンクを張ったり、フォーラムやブログにコメントを残したりすれば良い。しかし、公に参画する場合、リソース計画に影響を及ぼすであろう。
また、バックアップ、転写やソーシャルメディアへの投稿などにもリソースがかかることを考慮すべきである。
■コツの覚え方
あなたのスタッフがソーシャルメディアの利用方法を学ぶ上で最も効果的な手段は、実際に使ってみることだろう。個人的なFacebook、Twitterやブログのアカウントを作成し、利用することで様々なリスクを最小化するコツを覚えることができる。更に、個人で行うことで省庁の看板を背負うことなく、ある程度気楽にコツを覚えることができる。そしてスタッフがコツを覚えたところで、職業としてソーシャルメディアの利用を始めるべきであろう。
なお、省庁より承認を得てソーシャルメディア上で活動する場合、省庁の代表者として振る舞う必要がある。詳細については、「4.基本的な考え方」を参照のこと。
■スタッフへの信頼
ソーシャルメディアツールの活用では、ステークホルダーへの迅速な対応と直接的なコミュニケーションが重要である。しかも、これはリアルタイムか、それに近い形で行われる必要がある。成功しているソーシャルメディアのプロジェクトでは、権限を委譲されたスタッフが信頼されており、的確なトレーニングを受け、リスクの理解と管理を徹底した上で必要情報を公表している。情報発信による論争の可能性や、公表情報に関する事前確認の必要性の判断についても、スタッフを信頼すべきであろう。また、スタッフの判断で上司に意思決定が委ねられた場合も、組織として迅速に意思決定する必要がある。
ソーシャルメディアプロジェクトの有効性を何よりも早く低下させるのは、その遅い対応である。全ての発言や「ツイート」が承認フローに乗って公表前に承認されるようでは、ソーシャルメディアプロジェクトは必ず失敗するであろう。
■受動的(Passive)、能動的(Active)、積極的(Engaged)
ソーシャルメディアへの関与には段階的なステージがあり、最初から一番強い関与のステージに足を踏み入れる必要はない。受動的(Passive)なステージからスタートし、徐々に関与度合いを深めていくことも可能である。
<受動的(Passive)>
あなたの組織がソーシャルメディアを活用して最初に出来ることの一つは「聞く」ことである。あなたの組織はどのような目で見られているのだろう?
ソーシャルメディアのモニタリングツールを活用することで、あなたの組織がどのように見られているかを知ることができる。例えば、Twitterの検索機能を使って組織の名前や組織に関連する課題などを検索することもできる。また、ブログや他のソーシャルメディアツールで特定の用語が使われた際に、アラートとしてメールを受信することができるサービスなどもある。
少なくとも、想定するオーディエンスが利用するソーシャルメディアツールを特定し評価する必要はあるだろう。このような分析は戦略計画の策定や将来のコミュニケーションなどに活用することができる。
<能動的(Active)>
ソーシャルメディア上の声を聞き、ソーシャルコミュニティの関心ごとや論調が分かってきたところで、少し能動的になれる。人々の質問に関連する内容が記載されたサイトのリンクを張ったり、ブログ、フォーラムやウィキ上の誤りを訂正することができる。
これらの活動は「他人の家」で行う。すなわち、他人が構築したブログ、フォーラムやウィキ上で行われるのである。この場合も必ず「4.基本的な考え方」に沿って活動し、自分の組織を代表する公務員であることを常に意識しながら活動する必要がある。
<積極的(Engaged)>
ここでようやく、あなたの組織は積極的にソーシャルメディアに関与することができる。すなわちソーシャルネットワークのサイトにグループをセットアップし、定期的にディスカッションのためのコンテンツを投稿したり、Twitterアカウントを登録し情報を発信したりするのである。
一度、このステージに突入したら、マメな管理者になる必要がある。定期的に投稿し、必要に応じて適度にコメントし、そして対応が必要なメッセージを定期的に確認するのである。
各ステージの詳細な例は、「6.実益とリスク分析」で紹介する。
次回の更新は、2/14(火)を予定しております。
(調査普及部 主席研究員 田村)
「行政機関におけるソーシャルメディア活用ガイドライン」へのリンク
Social Media in Government : High-level Guidance