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2019.12.10

2019年12月号連載企画 海外公共分野ICT化の潮流 No.15 開発途上国における大規模システム導入支援―通関システム・中央銀行決済システムの事例より―

独立行政法人国際協力機構(JICA)産業開発・公共政策部 行財政・金融チーム
課長 辻 研介
企画役 斉藤 ゆかり
調査役 更科 亮

1.はじめに

開発途上国の持続的な発展のためには、先進国による「援助」だけでなく、民間セクターによる投資やビジネスにより、経済を活性化していく必要がある。しかし、途上国ではソフト・ハード両面のビジネス環境が整っていないことが、貿易投資促進の妨げとなることも多い。

JICA(独立行政法人国際協力機構)では、途上国のビジネス環境整備を目指し、運輸交通・電力・通信といったハードインフラの整備に加え、法制度整備や行政手続近代化といったソフトインフラ整備の支援にも取り組んでいる。

本稿では、そのソフトインフラ整備支援の一例として、ベトナム及びミャンマーにおける通関システムやミャンマーにおける中央銀行決済システムの導入に係る支援事例と、それらの事例を通じて得られた気づきを紹介したい。