機関誌記事(記事単位)

2021.04.15

2021年4月号 トピックス 我が国におけるMaaSの現状・課題と方向性 ~持続可能な移動手段の確保に向けて~

EY新日本有限責任監査法人
インフラストラクチャー・アドバイザリーグループ
シニアマネージャー 竹内 稔

昨今、スマート・シティやDXの機運が高まる中で、政府や地方公共団体、そして、様々な業態の民間企業において、「MaaS(マース:Mobility as aService)」に対する関心が高まっています。全国各地でMaaSの取組みが進められ、アプリ開発や、自動運転・AIオンデマンドといった新たなモビリティの話題を聞かない日はないくらいです。

実際に、この1、2年で多くの実証実験が開始されていますが、地域に根差した持続的な事業へと結びつけていくという面においては、まだ模索段階のものが多い状況です。その一方で、特に地方では、構造的に厳しい収支構造にCovid-19の影響も加わって、地域公共交通に崩壊の足音が迫っています。

そこで、本稿では、そもそもMaaSとはどのようなことを指すのか、また、今後、特に行政が持続可能な移動手段の確保や地域活性化に取り組む中で、MaaSをいかに実効性ある施策として活用していくべきかについて、MaaSの現状と課題、その解決の方向性を交えて解説します。