機関誌記事(記事単位)

2023.02.10

2023年2月号 特集 線状降水帯による大雨災害の軽減に向けて

気象庁総務部企画課技術開発推進室
調査官
伊藤 渉

技術開発調整係
北本 萌子

1.はじめに

 近年、線状降水帯による大雨によって毎年のように甚大な被害がもたらされており、令和2年7月豪雨では、土砂災害や河川の氾濫により、特に甚大な被害が発生しました。線状降水帯は、次々と発生した積乱雲により、線状の降水域が数時間にわたりほぼ同じ場所に停滞し、大雨をもたらします。気象庁では線状降水帯の予測精度向上を喫緊の課題として取り組んでいます。

 

2.気象予報の仕組み

 線状降水帯の予測精度向上に向けた気象庁の取組について紹介する前に、気象予報の仕組みについて紹介します。気象予報は、観測、予測、情報の提供の3つのプロセスで構成されています。