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2026.04.01

2026年4月号 政策解説 内閣官房地域未来戦略本部における、 地域データ利活用の取組み・支援 ―「地方創生データ分析評価プラットフォーム(RAIDA)におけるRAIDA-AIの紹介」―

内閣官房 地域未来戦略本部事務局
内閣府 地方創生推進室 ビッグデータチーム 参事官補佐(総括)
西尾 文吾

4.RAIDA-AIを用いた地域の人口減少問題の活用事例について

(自治体におけるRAIDA-AIの活用事例①:埼玉県川越市)
 埼玉県川越市では、第5次総合計画の策定に向けて、「社会増による人口維持」をキーテーマに、転出入の状況・要因の特定を目的に、RAIDA-AIを用いて分析する研修会を開催しました。RAIDA-AIを用いて、川越市の転出入の状況・要因分析としては、以下の分析・考察を行い、「データ分析結果」として、RAIDA-AIを活用した、分析のフレームワークを活用した分析と、生成AIによる示唆出しによると、①20歳代の転出が大きい、他年代は転入傾向、②転入前・転出後の居住地は、いずれも沿線上の近隣地域が多いということがわかりました。そこから、自治体職員が実施する「考察」として、①市内に所在する4校の大学が転出数に大きな影響を与えている可能性や、②住居選択をきっかけに転出入が起こっている可能性を導き出しました。こうした分析を踏まえ、より効果的な施策を検討するため、転出入の要因の詳細を把握する施策として、転出入手続きに際しアンケートによる実態把握を実施し、第5期総合計画等に反映していく等、効果的な政策立案に向けた取組を深化しています。

(自治体におけるRAIDA-AIの活用事例②:岩手県)
 岩手県では、県が主催となり、少子化対策の伴走支援型ワークショップを県内の小規模町村向け(洋野町、野田村、普代村、田野畑村、久慈市)に実施しました。RAIDA-AI「地域の人口減少対策」を利用して、ワークショップに参加した町村ごとに「人口減少対策」の分析を実施し、生成AIによる分析から得られた「優先的に取り組む地域課題」等の示唆を出力・確認し、ワークショップ内でも、データに基づく施策立案等を議論しました。
 ワークショップ実施結果を踏まえ、個別の町村単位の施策(空き家のイノベーション促進、お試し移住体験等)や広域的な事業(学生向けの地元企業の職場体験等)等、地域の実情に合わせた施策の実施の検討につなげています。

 

図6 RAIDA-AIの自治体活用事例

(出典)著者提供

 

5.今後の展望

 RAIDA-AIによって、これまでのEBPMが「データ分析」に重点を置いていた段階から、今後は「データ活用が当たり前」の段階へ移行することを期待しています。生成AIの登場によって、政策立案過程における分析・課題の特定を補助は、政策形成のスピードと質を高めていくのではないかと思います。
 また、同時に重要なのは、「どのような政策を立案し、実行するか」です。分析精度やスピードが向上するほど、判断の責任と説明可能性の重要性は増していきます。生成AIによる示唆出しは選択肢を提示し、論点を整理できますが、最終的な決断は行政が担うべき責任です。
 生成AIを活用した政策立案・分析に当たっては、その透明性や説明責任を確保することが重要であると考えています。この点に対して、RAIDA-AIは、その設計上、分析のフレームワークや統計データ等を活用することで、「透明性の高い」分析結果を表示すること、あくまで示唆出しに留めることによって、「説明責任」は利用者側にあることを意識しています。今後、「人口減少対策」だけでなく、「観光」をテーマとした分析でも同様の思想設計であり、自治体のニーズ等を踏まえつつ、様々な分野への拡充や分析の更なるブラッシュアップを進めていきたいと考えています。このように、地方創生に係る情報支援の取組も、生成AI等の最新の技術動向等も踏まえつつ、進化していきますので、地方公共団体の皆様の積極的な活用・取組を期待しています。

 

<ご参考>
・RESASウェブサイト:https://resas.go.jp/
・RAIDAウェブサイト:https://raida.go.jp/
・RESAS Portalウェブサイト:https://resas-portal.go.jp/

 

内閣官房 地域未来戦略本部事務局
内閣府  地方創生推進室 ビッグデータチーム 参事官補佐(総括) 西尾 文吾
連絡先(課室直通電話番号) 03-6811-1987
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