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2021.02.10

2021年2月号連載企画 海外公共分野ICT化の潮流 No.22 デジタル・ガバメントの国際的評価(前編)

内閣官房IT総合戦略室
政府CIO上席補佐官 座間 敏如

1.はじめに

2020年はデジタル・ガバメントに関する主要な評価が公表された年でした。COVID-19への対応に注目が集まったため、あまり話題にならなかったという側面がありましたが、特にインパクトのある調査結果が公表されたことは事実であり、その内容に注目して今後の取組に役立てるべきと考えています。
本稿では「国連電子政府調査(UN e-Government Survey)」およびOECDが実施した「デジタル・ガバメント指標(Digital Government Index)」の結果について分析し、我が国の国際的な位置づけについて解説したいと思います。前編では国連電子政府調査について取り上げます。

2.調査結果の「読み方」

解説に入る前にひとつだけ留意点を述べたいと思います。こういった調査結果が公表されると、とかく順位だけが話題にあがります。たとえば国連電子政府調査は、何故か「国連電子政府ランキング」として様々なメディアで紹介されています。指標がスコアリングされている以上、序列は生まれます。序列が存在する以上、その順位が気になることは仕方の無いことです。しかしながら、順位が上がった下がったと騒いだところで、何かの問題が解決するでしょうか。
実は、こういった風潮は我が国だけではありません。国連の調査事務局もこのような傾向が加熱していることに危機感を持っています。調査結果報告のために世界各国に向けてウェビナーを開始したのですが、事務局からのプレゼン資料の最初のページが以下の内容でした。
「電子政府調査の真の価値は階級的な順位にあるのではない。それよりも、2030年のアジェンダに対する自国の達成段階を確認したり、どのようなソリューションや戦略が目標達成のために存在しているかを他国の取組から把握し、それを反映する度合いによる。」
すなわち、こういった調査は、その質問事項や調査内容をひとつの指標として、自らの取組を振り返ったり今後どうするべきか議論するための「学習の機会」として捉えるべきなのです。本稿においても、そのような視点で解説を進めていきたいと思います。