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2022.08.12

2022年8月号 トピックス デジタルかアナログかではない ―子どもたちのためのインターフェースとしての「読書通帳」

浦安市
生涯学習部 中央図書館
館長
曽木  聡子

児童・地域支援サービス係
係長
相馬  幸代

取材/狩野英司(行政情報システム研究所)、平野隆朗(同)、小池千尋(同)
文/末岡洋子

 子どもたちに図書館に来てもらうにはどうすればいいか――その方法を模索していた千葉県浦安市立中央図書館は、設立40周年の節目に「読書通帳」を導入した。図書館で借りた本を銀行通帳さながらに「読書通帳」に印字する仕組みだ。市内に住む約1万2,000人の小・中学校の生徒に無料で読書通帳を配布し、印字のための読書通帳機を中央図書館と7つある分館に設置。学校図書館とも連携し、そこで借りた本も印字できるようにしている。利用者が使いやすい仕組みにこだわった結果、読書通帳を手に図書館にくる子どもの姿が見られるようになった。
 背景にあるのは、本を読むことは人が生きる上で大きな力になるという信念、そのために子どもたちに図書館に来てもらいたいという強い思いだ。インターネットに情報が溢れる時代に、なぜアナログのインターフェースを選んだのか。同館の曽木館長とサービス推進を担当する相馬係長に聞いた。

 

1.来館を促す仕掛けとしての読書通帳

 千葉県浦安市は2021年に市制施行40周年を迎えました。人口は17万人、市の面積は約17平方キロメートル、この中には有名な東京ディズニーリゾートもあります。