機関誌記事(記事単位)

2023.06.10

2023年6月号 トピックス デンマークの行政機関における窓口業務改革と日本での適用可能性

フロントデスクジャパン株式会社
代表取締役社長
ニコラス・ラーセン

福岡県北九州市 デジタル市役所推進室
デジタル市役所推進担当係長
三浦 雄一

静岡県裾野市 環境市民部市民課
主査
横山 雅樹

1.はじめに:デンマークの窓口業務改革-フロントデスクを導入した際の、コペンハーゲン市の例

 デンマークでは、2014年に、15歳以上の国民のデジタルID所持とオンライン手続きが原則義務化されたことにより、約2,000項目の市民行政サービスに関するオンライン手続きが促進されているものの、窓口での対面対応が必要な場合がまだあります。
 現在、デンマークの首都コペンハーゲン市(人口約82万。以下この章において単に「市」という。)の市民は、9つの主な行政サービスセンターに設置されている各2つのキオスク端末で行政サービスを受けています。2016年当時、市は包括的なデジタル化推進の過程にあり、重点分野の1つは、行政サービス部門の再編成であり、市民自身で窓口予約を取る仕組みへと変更されました。それまでは、行政サービスを受ける際には、市民は市内にある行政サービスセンターでの各窓口サービスに関し予約することができず直接行く必要がありました。その際、長蛇の列に並ぶ必要があり、窓口では担当者が対応に追われ、長い待ち時間、行列によるストレスが頻繁に起こっており、この長い列と待ち時間に関するボトルネックを解消するための効果的なツールが必要でした。市民は30分ほど待ったのにも関わらず、書類不備により、一度帰宅を強いられる場合があり、戻ってきても、番号を取得するためだけに再度30分待つ必要がありました。本記事で紹介するサービス「フロントデスク」を導入することにより、受付時の画面で、いくつかの質問形式のナビゲーションタブを設け、市民に選択していただき、市民を適した窓口へ効率的に振り分けることにより、窓口対応職員5人のフルタイム相当の時間を削減することができました。