研究所レポート

2012.03.31

ポストNPM時代の電子政府政策に関する調査研究

電子政府におけるNPM(New Public Management、新公共経営)型改革がもたらした課題を整理したうえで、今後の改革の方向性を、新たな行政のあり方として提唱されている「ポストNPM」論や「デジタル時代のガバナンス」論に基づき、英国および米国において2010年前後より行われている取り組みの紹介も交えながら提示した調査研究です。

調査研究のねらい・概要

1980年代以降各国で進められてきた、組織およびマネジメント、財・サービスの供給における分散化、断片化、市場原理に基づく競争の導入を志向するNPM(New Public Management)型改革の流れは我が国の電子政府政策にも及ぶようになりましたが、次第に限界も見られるようになりました。この様な状況を踏まえ、ポストNPM型の電子政府政策の方向性について検討を行った調査です。

本調査研究では、最初に様々な定義付けがなされているNPMの概念を整理した上で、NPMと電子政府の関係性、ITNPMにもたらしたインパクトについて解説しています。次に、NPMの限界と課題を整理した上で、ポストNPM論やデジタル時代のガバナンス論を中心に今後の電子政府政策の方向性を示すと共に、英米での具体的な取組を紹介しています。

目次

  1. NPM概念の整理
  2. NPMとIT
  3. NPMの限界
  4. ポストNPMDIGITAL ERA GOVERNANCE
  5. ポストNPM時代の諸外国の取り組み

おわりに

調査研究実施以降の関連する政府の取組

ポストNPMの重要な要素である再統合、ニーズに基づいた全体論、デジタル化のプロセスの徹底といった考え方を体現するものとして、ガバナンス面では2012年の政府CIOの設置が挙げられます(2013年に法定化)。また、デジタル技術を活用した全体的なサービスの提供を目指す戦略として、2017年にはデジタル・ガバメント推進方針が策定されました。

  • 政府CIOの設置

政府として、府省横断的な取組を明確かつ迅速な決定と責任の下に進めていくための統率力・調整力は必ずしも十分に備わっていなかったことへの反省から、20128月に非常勤の政府情報化統括責任者として政府CIOが新設されましたが、この時点では法的な裏付けのない職に留まっていました。その後、20135月に内閣法の一部が改正され、同法において内閣情報通信政策監として政府CIOに法的根拠が付与されました。

政府CIOには政府全体のIT政策及び電子行政の推進等の企画立案・総合調整を行う権限が付与され、主な任務として(1)府省横断的な計画の作成、(2)経費の見積りの方針の作成、(3)施策の実施に関する指針の作成、(4)施策の評価、(5)行政機関の長等に対する資料の提出その他の協力の求めが掲げられています。

  • デジタル・ガバメント推進方針(20175IT総合戦略本部決定)

同方針では、これからの行政サービスに求められるあり方として、(1)デジタル技術の活用による利用者中心サービス、(2)官民協働によるイノベーションの創出が掲げられ、そのための方針として、デジタル技術を徹底活用した利用者中心の行政サービス改革、官民協働を実現するプラットフォームの構築、価値を生み出すITガバナンスの強化が挙げられています。

現在、本方針を具体化するための実行計画がIT総合戦略本部の新戦略専門調査会電子行政分科会において審議されており、2017年末までに取りまとめられる予定となっています。

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