アジア

2011.08.02

韓国における公共情報提供指針

公共情報の民間開放は既に選択の問題ではなく、国家の責務であり義務にならなければならないと考える。これら情報の開放は、政府の政策に対する市民の参加を拡大し、関連産業とサービスの成長を誘導できる高度の政策方案であるといえるだろう。行政安全部でも国家的な次元で公共情報の開放及び活用を促進するために総合計画を樹立し推進しているところであり、公共情報開放促進のための方案の中の一つが今回紹介する公共情報提供指針である。

本記事は、韓国地域情報開発院発行の機関誌「Local Information Magazine Vol.64 2010.9」の一部を当研究所において翻訳したものである。_

公共情報提供指針

行政安全部 情報資源政策課 事務官
キム・ソンノク

公共情報提供指針の制定背景
 我々は、融・複合化、知能化、モバイル化等を通じた知識情報の活用時代に生きており、アップル社のアイフォンとアイパッドを見ても、もはや機器自体よりもソフトウェアとコンテンツにより大きな比重が置かれているのが現状である。
 また、スマートフォンの普及が爆発的に広がり、これとともにモバイルインターネットが活性化するにつれて、インターネット利用環境が有線から無線へと急変している。
 このような時流の変化の中で、新しいサービスや商品開発の源泉情報となる公共情報に対する関心と活用の機会が増え、個別の政府機関や公共機関でも公共情報を開放しようという動きを見せている。
 公共情報の民間開放は既に選択の問題ではなく、国家の責務であり義務にならなければならないと考える。これら情報の開放は、政府の政策に対する市民の参加を拡大し、関連産業とサービスの成長を誘導できる高度の政策方案であるといえるだろう。行政安全部でも国家的な次元で公共情報の開放及び活用を促進するために総合計画を樹立し推進しているところであり、公共情報開放促進のための方案の中の一つが今回紹介する公共情報提供指針である。
 公共情報に対する活用需要が増加するのに比して、公共機関で保有する情報を民間へ提供する際の明確な手続・方法が確立されていないということから、公共情報の提供が出来ない理由の63%が公共情報提供手続の不備を挙げるほどであった1)。
 とくに、昨年末高校生のユ・ジュワン君が開発して大流行した「ソウルバス」アプリに対する情報提供遮断事例などにみられるように、公共機関が民間から公共情報の提供要請を受付ける際の処理手続を確定する必要があった。これに対して行政安全部では今年4月末に関連公聴会を開催し、公共機関の意見を取りまとめ、去る7月「公共情報提供指針」を行政安全部長官の告示で確定した。

公共情報提供指針の主要内容
 公共情報提供指針は、公共情報が効率的に提供されるための細部規定であり、国家機関等において遵守しなければならないものである。「国家情報化基本法」第18条、第25条及び同法施行令第17条、第23条に基づいて国家機関、地方自治体、公共機関が公共情報を効率的に提供し、公共情報の民間活用を促進するための細部事項を規定している。

1. 総則
 総則では、指針の目的、用語定義、適用範囲、提供原則を規定している。指針は国家情報化基本法に基づき、国家機関、地方自治体、公共機関が公共情報を効率的に提供し、公共情報の民間活用を促進するための細部事項を規定することを目的としている。「公共情報」とは、「国家情報化基本法」第3条第1号に定める情報の中でDB等の情報として国家機関等が保有・管理する情報のことをいう。国家機関等の公共情報提供に関して他の法令で特別な規定がある場合を除いては、この指針が定めるところに従う。

2. 提供対象の公共情報及び提供対象者
 提供対象となる公共情報は、「公共機関の情報公開に関する法律」による非公開情報、第三者権利を含む情報を除外した全てが対象になる。ただし、第三者の権利を含む情報の場合でも権利者から利用許可を受けた場合は提供が可能である。この指針にしたがって公共情報を提供してもらうことができる対象者は、自然人、法人及び団体とする。ただし、外国人の場合には国内に一定の住所を置いて居住するか、学術・研究のために一時的に滞留する者、国内に事務所を置いている法人または団体に限られる。

3. 公共情報提供の申請及び処理
 公共情報を活用しようとする者は、公共情報を保有している国家機関または公共情報活用支援センター2)に公共情報提供申請をしなければならない。リアルタイム・バス運行情報のように既に公表された公共情報は、明示された著作権など権利関係に従い利用許可が必要な場合を除いては、別途申請することなく活用可能である。国家機関等はシステムの安定的運営など機関本来の業務遂行に相当の支障をきたさないかぎり情報提供を遮断してはならない。
 公共情報提供申請を受けた公共機関は、10日以内に提供可否を通知し、それにしたがって公共情報を提供しなければならない。ただし、権利者の利用許可が必要な場合などやむを得ない事由で10日以内に提供可否を通知できない時にはその事由を明記して通知しなければならない。
 国家機関等は、申請を受けた公共情報に著作権など第三者の権利が含まれており、権利者から他人への提供許可を得られない場合には、該当の公共情報を提供してはならない。ただし、申請人が該当の権利者から利用許可を得た場合には提供しなければならない。

4. 公共情報提供方法及び費用負担
 国家機関等は、公共情報を無料で提供できるよう努力しなければならない。ただし、公共情報を保有した情報システムの安定的運営など必要な場合に実費の範囲内で費用請求が可能である。実費は、公共情報提供に追加で必要な情報システムやネットワークの増設費用等をいう。
 公共機関と協議した提供条件に違反して民間で公共情報を活用している場合は提供中断等の措置をとることができる。さらに、情報提供過程において機関の情報システムに相当な負荷が発生し、機関本来の業務遂行に相当の支障をきたす憂慮がある場合にも、提供中断等の措置を取ることができる。

今後の推進方向
 今回の「公共情報提供指針」制定を通じて、公共機関が保有・管理している公共情報をよりいっそう積極的に民間に開放し提供できる制度的基盤を整備したと考える。一方で、公共情報を保有している公共機関の積極的意志が今後の公共情報の効率的な提供に何よりも重要だろうと思われる。そのために、今後公共機関がより自発的に公共情報を開放することができる法案を用意し施行する計画である。公共情報の開放水準を測定するべく指標を設定し、これにしたがって公共機関の情報開放水準を測定し、各種評価に反映することも一つの方法になり得るものと見ている。これとともに、去る6月10日開所し運営中である「公共情報活用支援センター」を通じて、公共機関において公共情報を開放する過程で経験する各種の難点を多角的に支援していくつもりである。

註1)韓国データベース振興院、2006公共情報提供時隘路事項調査(公共機関従事者対象)

註2)「公共情報民間活用促進総合計画(’10.3.10)」に基づき、公共情報民間活用過程の難点(隘路事項)を支援するために設置された“公共情報活用支援センター(www.pisc.or.kr)”をいう