北米

2011.07.13

CIO.govより「アメリカ国土安全保障省CIOがシリーズで語る『ITプログラムを成功させるポイント』(1)」

リチャード スピールズ氏(アメリカ国土安全保障省CIO)による『ITプログラムを成功させるポイント』と題する複数の投稿がCIO.govに掲載されていますので、簡単に翻訳し紹介いたします。

リチャード スピールズ氏(アメリカ国土安全保障省CIO)による『ITプログラムを成功させるポイント』と題する複数の投稿がCIO.govに掲載されていますので、簡単に翻訳し紹介いたします。

「幸運にも、私は25年間も大規模ITプログラムマネジメントに関与してきました。私の経験は通常の民間企業や、銀行、証券会社、テレコミュニケーション業界、またIRSやDHSなどの連邦政府へのシステム導入を含みます。今でも新しく学ぶことを止めてはいませんが、私は多くの成功や失敗を目のあたりにし、大規模で複雑なITプログラムを成功させるために必要とするポイントがあると強く感じています。

プログラムを成功させるためには多くの要因が存在しますが、その中でも中心から始めたいと思います。それは、良いガバナンスです。最高のプログラムマネージャですらガバナンス モデルが機能していないプロジェクトを成功に導く事は出来ないでしょう。ガバナンスは、組織のキーとなる意思決定者間の整合性を促進させます。私たちは何十年にも渡り、曖昧な要件定義やスコープ定義を原因としたITプログラムの失敗事例について聞かされています。しかしながら、これにはもっと根本的な原因があります:キーとなるステークホルダーを「同じページ」にいさせることが出来ていないのです。

ITプログラムにおいて、様々な「変更」は避けて通ることができません。従って、上述の整合性についてもプログラムの開始時点で合っていれば良いと言うものではありません。整合性を保つことはプログラムのプランニング、設計、開発そして導入の各フェーズにおいて重要となり、結果としてライフサイクルのプロセスとして見るべきなのです。 また、ITプログラムにおいては、時として重大な「変更」が生じ、当初予定していたROIや説明責任を果たすため、整合性を保つことがより重要になるのです。更には、複雑なITシステムでは、経営戦略を司る部門や、ユーザー部門、IT部門、財務、調達、監査など非常に多くのステークホルダー組織が関与します。全てのステークホルダー組織が重要な意思決定に参加することは、本当の整合性を保つために必要不可欠なことです。
ガバナンスのモデルは各組織の要求や文化に合わせて変えるべきですが、有効なプログラムのガバナンスを実施するため基本となる重要な要素は変更するべきではありません。

■ 企業全体の戦略立案、プログラム、予算管理、調達、実行のプロセスと統合されたガバナンスの階層(エンタープライズ、ポートフォリオ、プログラム)
■ 各ガバナンスの階層における明確に定義された重複無き役割、責任、権限
■ 該当するポートフォリオ機能の責任を持つ幹部に監督された総合的なポートフォリオの移行戦略(これらの幹部はケーパビリティのギャップ、投資や戦略の優先順位などを明確化することが可能である)
■ プログラムマネージャからプログラムを監視するガバナンス委員会に対する、一つの明瞭なレポートライン(このガバナンス委員会はキーとなるステークホルダー組織の幹部で構成され、様々な決定や、各組織の取りまとめ、ビジネス/IT/調達/財務などとの協調体制を構築し、最終的な説明責任を負う)
■  プログラムのガバナンスにおける時宜を得た判断。特にアジャイル型の開発を導入する際には重要となる
■  プログラムがポートフォリオやエンタープライズに影響するような課題を有する場合の上申のルールとパス(プログラム~ポートフォリオ~エンタープライズ)

次回は、 効果的なプログラム ガバナンスの導入モデルと他のITプログラムの成功要因についてです。」
(調査普及部 主席研究員 田村)

オリジナル記事