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2020.06.10

2020年06月号連載企画 海外公共分野ICT化の潮流 No.18 デンマーク国家デジタル化・ITアカデミーの設立

ロスキレ大学
准教授 安岡 美佳

デンマーク電子化庁(Digitaliseringsstyrelsen)(※1)は、20203月に政府内でのデジタル化をさらに浸透させるため、公共機関の公務員を対象としたデジタルスキル向上を支援するデンマーク国立デジタル化アカデミ(Statens Digitaliseringsakademi、以下、デジタルアカデミ)を開講した。デジタルアカデミは、政府機関を中心とした公共機関独自の情報システムの枠組みや機能についての講座を提供する電子化庁の内部組織だ。政府機関の具体的事例やビジネスモデルをもとに、実践的な内容を提供し、公務員や関連各所の公共デジタルシステムの理解を深め、サービスを向上させ、デジタル化による効率化をさらに推進することを目標としている。デジタルアカデミで提供される講座は、情報技術のバックグラウンドを持っていない全ての公務員を対象とし、公共機関独特のデジタル化のニーズ・ゴールや戦略について学ぶことができる場所として位置付けられている。

デジタルアカデミがまず目標として掲げるのは、公共機関間や、公共機関で働く人たちの間の共通言語の構築である。デジタルアカデミの設立に先立ち、デジタル化された国家において公務員が持っているべき能力や知見が、デジタル能力モデル(Digital Competency Model)(※2)としてまとめられた。公務員が持っているべき公共機関の電子化における知見やスキルセットは、電子化庁が掲げる公共機関のデジタル化の目標により近づけるための基盤として位置付けられ、デジタルアカデミの講座を通して、ITプロジェクトのリーダーや電子化を進める自治体の職員のスキル向上を支援することになる。

(※1)デンマーク電子化庁(Digitaliseringsstylesen) https://digst.dk/

(※2 https://digst.dk/styring/statens-digitaliseringsakademi/model-for-digitale-kompetencer/