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2021.08.13

2021年8月号 特集 學美・美學-台湾デザイン研究院がもたらす、教育環境と組織の変革

株式会社リ・パブリック
シニアディレクター
内田 友紀

デジタル民主主義の実践が目覚ましい台湾。教育・医療・交通など複数の分野で行政サービスの改革が進み、デジタルトランスフォーメーションをはじめとする様々なアプローチが試みられているが、いま注目されるのがデザインによる改革だ。

その動きの中心のひとつが、台湾デザイン研究院(Taiwan Design Research Institute. 略称TDRI)だ。2021年3月、院長の張基義氏が行政情報システム研究所主催のセミナー「デジタル・ガバメントDays2020 海外編」に招かれ、筆者は黒鳥社の若林恵氏とともにインタビュアーとして参加させていただいた。

台湾デザイン研究院は2020年に設立された台湾政府直轄のデザイン研究・振興組織だ。産業振興のための財団法人台湾デザインセンターを前身とし、2020年に名称と役割が改変された。デザインを通して公共サービス・システムを変革し、社会と産業を持続的に発展させていくことが使命である。その背景には「Made in Taiwanを誇るものづくりの台湾から、デザインの台湾へ」という政府の強い方針があった。