機関誌記事(記事単位)

2023.06.10

2023年6月号 特集 政府におけるEBPM推進の取組について

内閣官房行政改革推進本部事務局
主査
石野 夏幹

1.はじめに

 EBPM1(エビデンス(根拠)に基づく政策立案)は、①政策目的を明確化させ、②その目的達成のため本当に効果が上がる政策手段は何かなど、政策手段と目的の論理的なつながりを明確にし、③このつながりの裏付けとなるようなデータ等のエビデンス(根拠)を可能な限り求め、「政策の基本的な枠組み」を明確にする取組である。
 デジタル化の急速な進展や令和2年以降のコロナ禍に見られるように、環境の変化が早く、社会課題が複雑さや困難さの度合いを増し、先を正確には見通せない状況の中、限られた資源を有効に活用し、国民により信頼される質の高い行政を展開するためには、EBPMの手法を活用して機動的かつ柔軟に政策を立案し、見直すことがますます重要となっている。
 本稿では、政府におけるEBPM推進の取組について、以下の順で説明する。なお、本稿の意見に係る部分は、著者の個人的見解である。
・EBPM推進体制発足の経緯
・機動的で柔軟な政策形成に関する提言及びそれを踏まえた行政事業レビューの見直し
・EBPMを実践する各府省の政策担当者への支援策
・おわりに ~機動的かつ柔軟に政策形成を行う組織文化の構築に向けて~

1 Evidence-Based Policy Makingの略。