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2019.10.10

2019年10月号特集 グローバル視点から見た日本のデジタル・ガバメントの評価と展望―DX時代のCIOが果たすべき役割―

早稲田大学電子政府・自治体研究所
教授 岩﨑 尚子

1.世界におけるデジタル化の進展

デジタル化は、いまや世界経済・社会・政府に大きな影響を与えている。世界では時価総額企業のトップ10のうち、GAFAなどデータ活用型のプラットフォームビジネスの6社が軒を連ねる。世界で27
億人の潜在ユーザを有するFacebookが新しいデジタル通貨圏を形成するとも目される「リブラ」のローンチがG7をはじめ国際金融市場の懸念材料となるなど、フィンテックやシェアリングエコノミーをはじめあらゆる業界においてデジタル化が凄まじい勢いで進む。
政府が推進する超スマート社会を意味する「Society5.0」が進化するなかで、デジタル技術が世帯普及率10%に達成するまでの所要年数を比較してみると、電話で76年、パソコンで13年、インターネットで5年、スマートフォンで3年である。有線のスピードは1995年から2015年までの20年で約156万倍、無線のスピードは1980年から2020年までの40年で約100万倍になっている。驚異的なスピードでデジタル化が進んでいることの証左だ。
さらにデジタル化の脅威は、国家戦略の中枢にまで浸食している。米中デジタル覇権競争で攻防を繰り広げる中国が、かねてより進めているデジタル・シルクロードに沿って敷設する5Gネットワークに電子商取引などのネット・サービスで中国主導のデジタル経済を確立するとともに、ASEANの一部の国ではデジタル・ガバメントの覇権も握られつつある。ICT革命以降わずか40年で、世界のデジタル化は新しい時代に突入しているといえよう。