機関誌記事(記事単位)

2023.08.10

2023年8月号 特集 Web3.0が創り出す新たな世界

株式会社第一生命経済研究所
ライフデザイン研究部 主席研究員
柏村 祐

1.Web3.0とは何か

 インターネットが社会に浸透する中、Web3.0と呼ばれる新たなテクノロジーの概念に注目が集まっている。このWeb3.0が注目されるきっかけの1つとして、政府が2022年6月7日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2022」の中で、「ブロックチェーン技術を基盤とするNFTやDAOの利用等のWeb3.0の推進に向けた環境整備の検討を進める。」と明記されたことが挙げられる。Web3.0とは、インターネットを活用する革新的なデータ流通構造を表現する概念である。データの流通構造は時代の経過とともにWeb1.0、Web2.0、Web3.0と進化を遂げている。Web1.0は、インターネットが活用され始めた1990年から2000年代前半の期間に登場し、主要サービスはホームページや電子メールであったが、これらは一方通行のコミュニケーションに止まっていた。Web2.0は、2000年代後半から2020年の期間に登場している。この主要サービスは検索サービス、SNS、eコマースであり、その特徴は、双方向のコミュニケーションが可能なことである。そして、現在進行形で発展を続けるWeb3.0の世界では、プラットフォーマーや金融機関等の仲介者を介さずに個人と個人がつながり、取引を行うことができる。主要サービスとしては、暗号資産、NFT、メタバースが挙げられる。