研究所レポート

2014.03.31

米国電子政府政策の便益(ベネフィット)評価報告に関する調査

米国連邦政府の電子政府政策に関する国民への情報公開の取組を、議会に毎年提出しているベネフィット(実益)報告書およびIT投資の状況が確認可能なダッシュボードを中心に調査を行うとともに、これらの取組と密接な関係を持つパフォーマンスマネジメントの徹底についての方向性を示した政府業績結果法改革法(GPRAMA)、システム移行後の評価で用いるべき指標について提示した調査研究です。

調査研究のねらい・概要

2013年6月に閣議決定された世界最先端IT国家創造宣言の中で「ITダッシュボード」の作成が謳われるなど、我が国でもIT投資のパフォーマンスの評価とマネジメント、情報公開にむけた取り組みが進みつつあります。本調査はこのような状況に鑑み、米国政府で先行している取り組みを明らかにしたうえで、日本への示唆を検討したものです。

本調査研究では、最初にベネフィット(実益)報告書作成の前提となった2002年以降の電子政府政策および関連するイニシアティブを概観しています。その後、電子政府政策に関する評価、報告、および情報公開の取組について、電子政府報告書、ベネフィット報告書、Performance.gov ITダッシュボードを例に、政府業績結果法改革法(GPRAMA)制定に伴う変化を含め解説しています。最後に、米国におけるこれらの取り組みの意義を示すとともに、我が国の電子政府政策に関する情報公開の在り方への示唆を提示しています。

目次

  1. 米国連邦政府の電子政府政策体系
  2. 電子政府政策の評価・報告体系
  3. ベネフィット報告書の成立経緯
  4. ベネフィット報告書の構成
  5. ベネフィット報告書の有効性
  6. ベネフィット報告書導入後の状況
  7. ITダッシュボード
  8. GPRAMA制定後の情報公開・報告とマネジメント
  9. 電子政府政策の推進と説明責任

おわりに

調査研究実施以降の関連する政府の取組

世界最先端IT国家創造宣言において打ち出された投資管理の強化の方針に基づき、政府情報システム投資計画が毎年度作成されると同時に、大規模プロジェクトに関しては政府CIOによるレビューが繰り返し行われています。また、投資に関する情報公開の取り組みとしては同宣言に基づき、2014年度以降は政府情報システムに関する投資計画を策定して公表することとなったと同時に、実際の投資状況に関する情報を掲載したITダッシュボードが作成、公開されています。

  • 世界最先端IT国家創造宣言 工程表(20136IT総合戦略本部決定)

2014年度予算から、政府情報システム改革に関するロードマップの着実な実施に向けた、政府情報システムに関する投資計画を策定することとし、同計画に①投資額の詳細と②投資による効果・KPIを明らかにすることとなりました。

この工程表に基づき、政府情報システム投資計画が毎年度作成されています。

  • ITダッシュボードの公開(20147)

2013年に公表された世界最先端IT国家創造宣言で作成の方針が示されたITダッシュボードが公開され、その後も掲載項目が随時拡大されています。20176月時点では、政府情報システム投資計画、契約情報、情報システム削減数、運用コスト削減状況、情報システム数、情報システムに関する予算などの情報が掲載されています。

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