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2017.04.10

『行政&情報システム』2017年04月号特集 海外における公共サービスへのサービスデザイン活用

株式会社コンセント 代表取締役
サービスデザインネットワーク日本支部 共同代表
長谷川 敦士

サービスデザインとService Design Network
サービスデザインとは、「デザイン思考(Design Thinking)」のもとになっている人間中心設計(Human Centered Design: HCD)や、ユーザーエクスペリエンスデザイン(User Experience Design: UXD)のアプローチを用いて、企業や行政のサービスを設計する手法であり、2000年頃から欧州を中心に盛り上がりを見せている。「サービス」と銘打たれているが、いわゆるサービス業的なものだけに対象は限定されておらず、いかに人々の価値の循環を継続的に実現するか、という視点でほぼすべての社会活動が対象としてとらえられている。このため、顧客がサービスを受けるまさにその場(サービスのタッチポイントと呼ばれる)だけでなく、その裏側のしくみについて理解・設計するための手法なども開発されている。こういったことから、近年普及の兆しを見せているUberやAirbnbなどの共有経済(シェアリングエコノミー)や、ものづくり企業のサービス化(サービスドミナントロジック)といった組織変革も議論の範疇に入っている。このサービスデザインのアプローチは「サービスデザイン思考の5原則」として、「THIS IS SERVICE DESIGN THINKING.」などの書籍にまとめられている。