機関誌記事(記事単位)

2018.12.10

2018年12月号トピックス チャレンジ!!オープンガバナンス

東京大学 公共政策大学院
客員教授 奥村 裕一

1.はじめに

オープンガバナンスは、これからの社会が目指すべき自律する市民とこれをプラットフォームとしてサポートする行政で構成される新しい統治の形態であり、デジタル技術はこれを支える格好の技術である。はじめに関連する三つのキーワードである、オープンガバメント、オープンデータ、オープンガバナンスについて説明する。

(1)オープンガバメント
これが時間的には一番古くて2009年1月にオバマ政権が誕生した際に米国政府が始めた取組である。オープンガバメントは今後の政府のあり方として、デジタル技術も念頭において国民に対してよりオープンな政府を目指してオープンガバメントの三原則すなわち政府データの公開による透明、政策立案への市民参加、行政サービスの市民との協働を打ち出したことで有名になった。この取組は政府職員向けで、政府が三原則を実行する組織に変わることを狙いとしていた。この意味で主語は行政であり実行するのは行政職員である。
なお、透明、参加、協働の三原則のうち、透明が基盤であって、この原則のもと、行政の持つ情報の社会的共有が行われて初めて、国民の政策形成への参加も政策サービスの協働も成り立つ。情報の社会的共有にはインターネットなどデジタル技術が大変役立つ。