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2019.12.10

2019年12月号トピックス 消防ロボットシステム:スクラムフォースの研究開発―実戦配備型と導入した先端技術の概要―

消防庁消防研究センター
特別上席研究官 天野 久徳

1.背景

東日本大震災では球形ガスタンクにおいて火災・爆発が発生した。現在、南海トラフ地震や首都直下地震の発生が懸念される中、自然災害によって石油コンビナートや化学プラントといったエネルギー・産業基盤施設において大規模な火災が発生することも考えられる。自然災害ばかりではなく、平成24年の姫路市における化学プラントの爆発事案においては、消防隊員1名が殉職し、多数の負傷者を出した。ここ数年は危険物施設における事故件数も増加傾向にある。このような大規模な火災や爆発危険の高い現場においては、消防隊員が火炎に近接して活動することは困難を伴う。そこで、十分な距離を確保した位置から自律的に動作し、互いに協調連携ができる複数のロボット等でロボットシステムを構成し、これらの大規模災害に対応する消防ロボットシステム:スクラムフォースの研究開発を進めている。

平成25年度に基本的な構想をまとめ、平成26年度から7年計画にて研究開発を進めてきている。平成26年度〜平成28年度の3年間で一次試作機を完成させ、平成29年度〜平成30年度の2年間で一次試作機を消防本部において試験評価し、その結果を基に実戦配備型を完成させた。令和元年度〜令和2年度の2年間で、実戦配備型を消防本部に実証配備し、訓練や実戦を通して得られた評価を基に機能の最適化や新技術の導入等を進め、実戦配備型の改良を完成させ、また、量産型の仕様をまとめる計画である。