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2019.08.09

2019年08月号連載企画 デンマーク・デジタル社会の全貌 No.1 デジタル化が進展する次世代社会システム における社会実装

デンマーク大使館 投資部
部門長 中島 健祐

1.はじめに

読者の皆さんはデンマークと聞いて、何を思い浮かべるであろうか?恐らく多くの方は「マッチ売りの少女」を書いた童話作家のアンデルセン、高級な陶磁器として知られるロイヤルコペンハーゲン、豚肉やチーズなどの畜産や酪農を思い浮かべるのではないだろうか?もちろんこれらは今でもデンマークの文化や産業として広く知られている。しかし、ビジネスの視点で最近のデンマークをみると従来の北欧イメージとは全く異なる姿に驚くかもしれない。このところデジタル化やデジタル・トランスフォーメンションという言葉が毎日のようにメディアを賑わしている。日本も2016年1月にマイナンバーを導入しデジタル化によりソサイエティ5.0を推進する方針を打ち出している。そのデジタルだが、デンマークは2016年から3年連続EUにおけるデジタル化ランキングで1位となっている。デジタルガバメントでも2018年にICT先進国65ヶ国を対象に行った調査で1位になるなど、観光や農業に加えてデジタル先進国というのがデンマークの現在の姿である。国家全体でデジタル・トランスフォーメーションが進展し、スマートシティを含めた新しいソリューションの開発と導入が行われている。この連載では北欧デンマークの次世代型社会システムにおいて、なぜ先進システムが日本と比べてスムーズに導入されるのかに導入されるのかについて考察し、日本がソサイエティ5.0やスーパーシティにより真に豊かな社会を築き上げる上での参考にして頂ければと考えている。