研究所レポート

2023.06.01

諸外国・地域におけるデジタル戦略の体系に関する調査研究

本調査研究は、諸外国行政機関のデジタル戦略の構成要素を、策定の目的、策定方法、他の戦略との関係性、戦略の構造、実施計画との関係性、実効性の確保、進捗・達成度の評価といった観点から分析・整理して複数のパターンに類型化し、それぞれの特徴や利点、課題等を明らかにしたものです。

 現在、政府及び自治体では、行政のデジタルトランスフォーメーションの推進に向けて、多方面にわたる取組を展開しています。かかる取組の中には、ただちに着手し、成果を挙げることが期待できる課題がある一方で、数年から10年単位の視野に立って着実に取り組む必要がある中長期的課題も山積しています。また、ITインフラ整備のようなハード面の課題もある一方で、デジタル格差の解消や国民IDの利用促進といった、ソフト面の課題も少なくありません。今日の我が国行政機関には、これまで十分に着手されることがなかった、こうした中長期的かつ、ソフト面の課題に戦略的に取り組んでいくことが一層求められるようになっています。

 しかしながら、そうした視点を踏まえたデジタル戦略をいかに形成、維持し、実効性を高めていくかについては、一定のフレームワークは存在していません。このため、各機関が手探りで、ときに場当たり的に取り組んでいるのが実情となっています。これに対し、長年行政のデジタル化に取り組んできた海外のデジタル・ガバメント先進国の中には、こうした視点を持ったデジタル戦略が立案・運用されている国々が少なくありません。今後、我が国行政機関が的確にデジタル戦略を立案・実行していくに当たり、これらの国が得てきた知見や経験を分析・理解することは重要な意義を持つと考えられます。

 本調査研究は、こうした課題認識の下、諸外国行政機関のデジタル戦略について、ドキュメント分析及びインタビューを行い、

・策定の目的
・策定方法
・他の戦略との関係性
・戦略の構造
・実施計画との関係性
・実効性の確保
・進捗・達成度の評価

といった観点から、複数のパターンへの類型化を試みています。その上で、それぞれのパターンについて、その特徴や利点、課題等を明らかにすることで、政府全体、各省庁及び自治体が今後の戦略立案及び改定を行う際に役立つ知見を提供することを目指しています。

諸外国・地域におけるデジタル戦略の体系に関する調査研究(概要版)

諸外国・地域におけるデジタル戦略の体系に関する調査研究(報告書本編)

諸外国・地域におけるデジタル戦略の体系に関する調査研究(資料編)