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2020.06.10

2020年06月号特集 英国政府ポリシーラボでの社会包摂性実現のための最新アプローチ

英国政府Policy Lab
ヘッドリーダー ヴァサント・チャリ

英国政府では、2008年の金融危機を契機として2012年から始まった公務員制度改革と政府の効率化の動きに歩調を合わせる形で、「オープン政策形成(Open Policy-making)」の取り組みが進められてきた。(参考記事:2017年4月号特集「英国におけるオープン政策形成―英国政府ポリシーラボ上級政策顧問ベアトリス・アンドリュース氏講演内容より―」)同時期に発足したデジタル改革部隊であるGDSと共に政策立案の見地から省庁および自治体への幅広いサポートを行ってきたポリシーラボ。本稿では、発足から6年を迎えたポリシーラボが現在特に力を入れて取り組んでいる、英国政府内における3Dを起点とした社会包摂性実現のための最新の手法とプロジェクト事例について、ポリシーラボのヘッドリーダーを務めるVasant Chari氏に2019年11月に行った取材をもとに解説する。
取材・文/増田 睦子(行政情報システム研究所)

1.はじめに
英国政府では2012年のGDSおよびポリシーラボ発足後、デジタル・デザイン・データの3Dの活用を主眼に置いて改革に取り組んできた。内閣府内のイノベーションラボであるポリシーラボは、主に政策立案の場における3Dの活用をリードしてきた。職員個人レベルの教育プログラムから、政策立案のためのリサーチ支援までその活動は幅広い。発足から7年が経過した現在、英国政府内の多くの省庁では3Dが浸透してきているとVasantは言う。3Dの1つを成すデザインに目を向けると、社会包摂性の観点において、ユーザーの潜在的ニーズや課題の把握といった点で重要な部分を占め、ポリシーラボとGDSが積極的に取り組んできたユーザー中心デザイン(User centered Design、以下:UCD)はこの数年で英国政府に劇的に浸透し、多くの省庁がUCDを政策立案の場面で取り入れるようになってきたそうだ。
今回、UCDが浸透した英国政府内で、デジタル・ガバメントの領域でポリシーラボが取り組む新たな3つの手法について、そのポイントと具体的事例を聞いた。