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2022.12.10

2022年12月号 特集 個人の生活に寄り添ったデジタル・インクルージョンの実現に向けて ~ 英国・Good Things Foundationの取組~

英国Good Things Foundation
CEO
ヘレン・ミルナー

取材・文/増田 睦子(行政情報システム研究所主任研究員/デジタル庁デザインコミュニティマネージャー) 編集/森嶋 良子

 英国で2011年~2012年にかけて立ち上げられたGood Things Foundation。英国政府内にデジタル推進組織Government Digital Serviceが立ち上がったタイミングで、社会におけるデジタル・インクルージョン、すなわち誰もがデジタルテクノロジーを安全・自由に活用できる社会を実現するために英国政府から資金援助を受けて発足した組織である。
 日本政府においてもデジタル・インクルージョンは取り組むべき重要課題として認識されつつあり、諸外国における成功事例を学ぶことは今後の施策立案において重要だと考える。特に政府が2022年9月にスタートしたデジタル推進委員制度はデジタル・インクルージョン実現に向けたはじめの一歩といえるであろう。Good Things Foundationで設立時からCEOを務めるヘレン・ミルナー氏に、英国での取組の概要と日本政府へのアドバイスを聞いた。

1.GTFの目的はデジタル・インクルージョンの“埋め込み”

—— まず、Good Things Foundation(以下GTF)の概要とミッションについて伺います。
 私たちは10年半前に、政府の一部から分離独立して発足した組織です。慈善団体として設立され、営利活動は行っていません。企業や政府、その他の慈善団体から資金を継続的に調達することで運営しています。発足当初、英国政府とGTFの活動を援助するといった内容の契約を結びました。民間企業の資金援助がGTFの始まりでないということは、組織が信頼を得る上で重要なことだと思います。その後英国政府の財政が悪化して予算は徐々に減りましたが、民間企業による資金援助も得て、運営は軌道に乗っています。