機関誌記事(記事単位)

2020.08.07

2020年08月号トピックス 情報銀行の現状と行政にとっての意義、留意点について

渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 パートナー
落合 孝文
谷崎 研一

1.情報銀行とは

情報銀行とは、令和元年10月8日「情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会とりまとめ(※1)」において、「実効的な本人関与(コントローラビリティ)を高めて、パーソナルデータの流通・活用を促進するという目的の下、本人が同意した一定の範囲において、本人が、信頼できる主体に個人情報の第三者提供を委任するというもの」と定義されている。情報銀行という呼称で呼ばれているが、必ずしも銀行免許は必要とされない。
情報銀行の背景には、Society5.0、第4次産業革命などと言われる中で、データの利活用は中心的な柱の一つであり、かつ、その中には個人情報の利用が必要になるという点があった。しかし、特に個人情報については、例えば、鉄道事業者が他事業者に情報の提供を行おうとした事案等の炎上事案等の影響で、利活用を強く躊躇する状況があった。このような情報利活用への懸念を解消しつつ、今後個人情報の利活用を進めるための方策として、個人のコントローラビリティを高め、個人の積極的な関与の下でデータの流通・活用を進める仕組みの構築が必要であるとして、情報銀行というスキームが考案されたものである。その概要は図表1のとおりである。

図表1 情報銀行の概要

(出典)「情報信託機能の認定スキーム在り方に関する検討会とりまとめ」(令和元年10月8日)

(※1)https://www.soumu.go.jp/main_content/000648745.pdf