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2021.04.15

2021年4月号 特集 デジタル庁設置法案の要点

内閣官房
IT総合戦略室(デジタル改革関連法案準備室)
企画官 柳生 正毅

1.はじめに

我が国のIT戦略は、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成12年法律第144号)の制定、e-Japan戦略(平成13年1月22日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)に始まり、主にインフラ整備とIT利活用の推進が目指され、その後、政府CIO(内閣情報通信政策監)の設置、官民データ活用推進基本法の成立等により、データの利活用とデジタル・ガバメントを戦略の柱として推進されてきたが、今般の新型コロナウイルス感染症への対応において、国、地方公共団体のデジタル化の遅れや人材不足、不十分なシステム連携に伴う行政の非効率、煩雑な手続や給付の遅れなど住民サービスの劣化、民間や社会におけるデジタル化の遅れなど、デジタル化について様々な課題が明らかになった。そこで、これらの課題を根本的に解決するため、行政の縦割りを打破し、大胆に規制改革を断行するための突破口として、デジタル庁の創設が目指されることとなった。

 

2.検討経緯等

政府内の縦割りを打破し横串を通した全体最適の追求、利用者視点の徹底、危機を含む多様な事態に柔軟に対応可能なデジタル化の推進、データ活用といった観点から、行政の情報システム全体のトータルデザインを具現化し、政府全体に横串を刺した社会全体のデジタル化の取組の抜本的強化を図るため、当初は、政府CIOの機能の強化等を図ることとしていた(世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ利用推進基本計画(令和2年7月17日閣議決定)等)。

そのような中で、新型コロナウイルス感染症拡大により、社会が変容する中、多様な分野でデジタル化への課題が浮き彫りとなり、顕在化した課題への対応のため、行政の縦割りを打破するデジタル施策に喫緊に取り組む必要が生じたことを踏まえると、多様な人材を集め、従来の役所とは一線を画した次のデジタル社会をリードする強い組織を立ち上げることが必要であるとして、強力な司令塔機能を有するデジタル庁を創設する旨の指示が、デジタル改革関係閣僚会議(令和2年9月23日)において、菅内閣総理大臣からなされ、令和3年通常国会に必要な法案を提出すべく、令和2年末には基本方針を定めることとされた。

菅内閣総理大臣の指示を受けての具体の検討は、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)の下に開催されたデジタル・ガバメント閣僚会議のデジタル改革関連法案ワーキンググループ及びデジタル改革関連法案ワーキンググループ作業部会において行われ、令和2年11月20日に「デジタル改革関連法案ワーキンググループ作業部会とりまとめ」が、同月26日に「デジタル改革関連法案ワーキンググループとりまとめ」がなされた。政府は、これらの議論を踏まえ、デジタル社会の将来像、IT基本法の見直しの考え方、デジタル庁の設置の考え方等についての方針として「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」(以下「基本方針」という。)を同年12月25日に閣議決定し、令和3年2月9日に、デジタル社会形成基本法案等のデジタル改革関連法案の一つとしてデジタル庁設置法案(令和3年9月1日施行)を閣議決定した。(図)

図 デジタル庁設置法案の概要

(出典)内閣官房HP(https://www.cas.go.jp/jp/houan/210209_2/siryou1.pdf)