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2021.06.16

2021年6月号 トピックス 行政における電子署名の課題と将来展望 グレーゾーン解消制度を利用した事業者署名型電子署名にかかる確認結果を踏まえて

弁護士ドットコム株式会社取締役
クラウドサイン事業本部長
弁護士
橘 大地

1.COVID-19蔓延により浮き彫りとなった行政デジタル化の必要性

新型コロナウイルス感染症(COVID-19。以下「新型コロナ」という。)が蔓延し、2020年4月7日に緊急事態宣言が発令されて以降、在宅勤務下で企業活動が継続できるよう電子契約の導入が相次いでいる。一般社団法人日本CFO協会によれば、在宅勤務が実施できない企業の77%が、請求書や契約書など紙の書類がデジタル化に対応できていないことをその理由に挙げている。行政機関、民間企業問わず、デジタル化を急がなければならない差し迫った状況にある。
とりわけ我が国における行政手続きのデジタル化は、顕著に遅れていると評価せざるを得ない。経済協力開発機構(OECD)の調査によれば、日本の行政手続きのオンライン利用率は7.8%に留まり、調査参加国30カ国中最下位と発表された。記憶に新しいところでも、国民一律に給付された「特別定額給付金」を、各先進国が迅速に給付実施したにも関わらず、我が国では地方公共団体による給付事務作業が逼迫し、給付までに数ヶ月かかった自治体も少なくない。