機関誌記事(記事単位)

2023.04.10

2023年4月号 連載企画 行政情報化新時代no.61 「デッカイギ(行政デジタル改革共創会議)」の開催で見えたもの

武蔵大学 社会学部
教授
庄司 昌彦

1.背景:コミュニケーションの必要性

 マイナンバーカードの普及、行政手続のオンライン化、基幹システムの標準化など、自治体における行政情報化の現場では、同時にさまざまな取組みが進行中である。マイナンバーカードは申請数が2023年2月26日時点で9,000万件を超え、全人口に対する割合では70%に手が届こうとしている。今後はマイナンバーカードを活用して行政手続オンライン化などのメリットを多くの人に提供する本格的な実装段階に入る。
 一方、自治体システムの標準化は、2022年10月に政府の基本方針が固まり、20業務において標準システムへの移行を2025年度末までに終えることとなった。各システムの標準仕様書は2022年度8月末に出揃ったが、各仕様書における積み残し課題の検討、データや連携に関する要件、共通機能、標準システムを構築するガバメントクラウド環境についての細部の検討、ベンダー企業による開発や各自治体における移行作業を具体化する上でさらに検討・調整を進めたり、明らかにしたりすることが必要な点はまだまだ多い。