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2016.12.10

『行政&情報システム』2016年12月号トピックス 地域包括ケア時代を乗り切るための医療・介護ICTネットワーク“うすき石仏ねっと”

臼杵市医師会立コスモス病院
副院長 舛友 一洋

1.はじめに
“うすき石仏ねっと”(石仏ねっと)は人口4万人弱の臼杵市内で活用されている医療・介護ICTネットワークである。名前は臼杵市の誇りである国宝「臼杵石仏」に由来する。注目されている点は、参加している職種の多様さ、加入している患者・市民(利用者)の多さそして情報の利活用だろう。例えば、市内の全ての歯科医が石仏ねっとを活用し、市内の90%以上のケアマネジャー(ケアマネ)がネットワークを介して情報を得ることが出来るネットワークは現時点では石仏ねっとだけだろう。また、『自分のデータを見ていいですよ』という閲覧許可つまり利用者の同意のツールである“石仏カード”の発行枚数は1万枚を超えている。我々は殆どの市民が参加することを目指しているが、現時点で市民の25%以上が石仏ねっとに参加している。更に消防本部通信指令室を介しての救急活用や「処方・調剤薬剤データベース」「災害時要援護者データベース」「歯式データベース」などの災害対策は、理想的なデータ利活用と思われる。とは言えケアマネ連携は平成28年2月に開始されたばかりで、本当に役立つ情報共有はこれからである。まだまだ発展途上の石仏ねっとだが、現状を報告する。

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