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2017.04.10

『行政&情報システム』2017年04月号連載企画 海外公共分野ICT化の潮流 No.3 電子政府アプローチの延長にあるフィンランドのベーシック・インカム構想

国際大学GLOCOM
主幹研究員 砂田 薫

1.はじめに
すべての国民に最低限の所得を保障する「ベーシック・インカム」は、18世紀末に政治思想家のトマス・ペインが提案したアイデアが起源といわれている。それから2世紀余りを経た今日、ベーシック・インカムをめぐる議論はイデオロギーや国・地域の違いを超えて活発になっている。伝統的に、ベーシック・インカム支持者は、左派であれば格差や貧困問題の解決策として、右派であれば生活保護や失業給付等の廃止による社会保障制度の簡素化で小さな政府を実現する手段として、有益であると主張してきた。また、途上国においては貧困対策の切り札として、一方、先進国においても経済のグローバル化で賃金格差の拡大や労働市場の不安定化といった問題を解決する手段として、期待が寄せられてきた。