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2017.10.10

『行政&情報システム』2017年10月号連載企画 海外公共分野ICT化の潮流 No.4 「デジタル・アイデンティティ」は、誰が保証するのか―エストニア e-Governmentの深層―

『WIRED』日本版
編集長 若林 恵

この5月、エストニアのタリンに5日ほど滞在してきた。スタートアップを訪問したり、テックカンファレンスに参加したり、デジタル先進国としてのエストニアの「現在」を観察するのを名目とした旅だったが、そのなかで最も強く印象に残ったのは「アイデンティティ」という言葉だった。
思えば、デジタル空間というのは、物理空間における「自分」とは異なった自分でいられることが、ひとつの大きな魅力だったのだろう。国籍やジェンダーや社会的身分や属性を問われないアノニマスな空間は、それ自体が「自由」を意味したし「民主化」をも意味した。おそらく少なからぬ人にとっては「解放」を意味した。