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2018.06.10

2018年06月号特集 米国連邦政府におけるEBPMの動向

横浜市財政局 財政担当課長
経済産業研究所(RIETI) コンサルティングフェロー
津田 広和

1.はじめに

米国のEBPMは歴代政権で進められてきたが、特に力を注いだのが(子)ブッシュ政権とオバマ政権である。特にオバマ政権は、施策と施策が目指すアウトカムとの因果関係を評価するインパクト評価(因果推論とも呼ぶ)を重視した。ホワイトハウスが主導して、予算等を通じた各省庁へのインセンティブ付けを行うことで、EBPMの体制整備、省庁間の連携、革新的な取組みの開発と政府内でのスタンダード化、エビデンス創出のための行政データの利用促進等を進め、ようやく一部の省庁ではエビデンス重視の文化が根付いてきた。しかしながら、連邦政府の全体にEBPMの取組みが組織文化として根付いたとはまだ言えず、エビデンスの創出も十分ではない。こうした背景のもと、オバマ政権末期の2016年に、超党派でCommission on Evidence-based Policymaking(以下、コミッションと呼ぶ)が設立された。コミッションは、行政が保有するデータの利用を促進してエビデンスの蓄積を推進すると同時に、データに係るプライバシー・機密性を確保するための方策を検討した。2017年9月、コミッションはトランプ大統領と議会に報告書を提出し、現在、報告書の提言を実装する法案が議会で審議されている。本稿では、米国歴代政権のEBPMの取組みを簡単に振り返ったうえで、コミッションの報告書とそれを受けて提出された法案の概略を説明し、最後にトランプ政権下でのEBPMについて紹介したい。