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2018.12.10

2018年12月号連載企画 海外公共分野ICT化の潮流 No.9 海外行政におけるサービスデザインの実践と組織文化の変革 ―Service Design Global Conference 2018 参加報告―

株式会社コンセント サービスデザイナー 小橋 真哉

1.はじめに:Service Design Global Conferenceの概要

去る10月11日〜10月12日、アイルランドのダブリンにて行われた「Service Design Global Conference 2018」に参加した。本稿ではそこで発表された、アイルランドCork州におけるサービスデザインへの取り組みと、組織文化変革に関するトピックを紹介する。
サービスデザインは、今や日本においてもデジタルガバメントを推進するためのアプローチとして注目されており、2017年5月に政府のIT総合戦略本部が決定した「デジタル・ガバメント推進方針」の中で、「サービスデザイン思考に基づく業務改革(BPR)の推進」が方針の一つとして挙げられ、2018年3月には、内閣官房IT総合戦略室から「サービスデザイン実践ガイドブック」が公開されるなど、今後の推進が見込まれている。
Service Design Global Conferenceは、サービスデザインの研究活動や普及啓蒙活動を行っている国際組織「Service Design Network」が毎年世界各地で主催している国際カンファレンスで、今回で11回目の開催となる。プログラムとしては、会員限定のメンバーズデイの後、メインカンファレンスが2日間にわたって行われ、基調講演といくつかのパラレルセッション、ワークショップで構成されている。