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2021.08.13

2021年8月号 特集 デジタル時代における、政策形成過程のオープンイノベーション~「スタートアップと大企業とのモデル契約書」改訂プロセスを事例として~

経済産業省産業技術環境局
技術振興・大学連携推進課長
瀧島 勇樹

1.「スタートアップと大企業とのモデル契約書」とは

「スタートアップと大企業とのモデル契約書」とは、スタートアップと大企業の取引をフェアなものとし、協業をよりスムーズに有意義なものとするため、秘密保持、PoC(技術検証)、共同研究開発、ライセンスといった事業の各段階におけるスタートアップと大企業との間の契約のひな形をまとめたものである。

大学発ベンチャーと大手自動車部品メーカーとの新素材の共同開発や、AIによる画像解析技術をもつスタートアップと大手介護用リハビリ機器製造販売メーカーとの共同開発といった、仮想の取引事例を設定して、契約書の取り決め内容を具体的に例示することで、交渉の勘所を明らかにし、契約に潜むビジネスリスクを予め明らかにすることを狙いとしている。経済産業省・特許庁・公正取引委員会が音頭をとり、スタートアップ、大企業、知財・法務の専門家といったステークホルダーが集まり、2020年6月にVer1.0が策定された。