機関誌記事(記事単位)

2021.08.13

2021年8月号 連載企画 デンマーク・デジタル社会の全貌No.6 社会の自動化と協働ロボットの開発

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
ソーシャルインパクト・パートナーシップ事業部
社会イノベーション・エバンジェリスト
中島 健祐

1.ロボットにおける日本とデンマークの関係

ここ最近、協働ロボット製造開発企業であるユニバーサルロボット社の活躍などにより、デンマークも世界的にロボット先進国として認知されるようになってきた。筆者がデンマーク外務省に所属し、日本とデンマークをロボットで結びつけるべく活動を開始した2008年当時は、デンマークのロボット開発は黎明期で同産業の育成についてロボット先進国である日本から学びたいという姿勢であった。ところが2021年現在、オーデンセ市にあるナショナルクラスターのオーデンセロボティクスを中心に、デンマークは協働ロボットを含め欧州における一大ロボット拠点として位置づけられるまでに成長している。一方日本は産業ロボット大国としての経験を活かし、新しい分野としてサービスロボット開発に力を入れてきたが、まだ道半ばの状況だ。また、協働ロボットの開発でも後れをとったように、どうもイノベーションのジレンマに陥りつつあるように見える。今回はデンマークのロボット産業発展の背景と成功の秘訣を踏まえ、デジタル基盤とロボットが融合した近未来の社会システムの方向性について考えてみたい。