機関誌記事(記事単位)

2022.02.15

2022年2月号 連載企画 人間中心の情報システム No.6 先端デジタル技術で農家と自治体を支援~スカイマティクス、inahoが挑む農業DX~

情報システム学会会長
国際大学GLOCOM主幹研究員
砂田 薫

1.はじめに

 日本の農業が抱える諸課題のなかでも担い手や労働力の不足など人に関わる問題はとりわけ深刻である。農業を営む経営体の数は2020年が107万6,000件で、過去10年間で36%も減少した。経営体の大半が個人(世帯)で、法人は増加傾向にあるとはいえ3万1,000件と全体の3%にも満たない。農業従事者数も2020年は163万3,000人で10年前と比べると34%減少。しかも平均年齢は67.8歳と高く、過去10年間で2歳上がった。そのような状況に追い打ちをかけたのが新型コロナ・パンデミックである。外国人技能実習生の受け入れ制限によって、労働力不足は急激に深刻さを増している。人の問題だけではない。近年は地球環境に配慮した農業のあり方が求められるなど、課題はますます複雑化している。