機関誌記事(記事単位)

2022.04.15

2022年4月号 連載企画 行政情報化新時代 No.58 「誰一人取り残されないデジタル社会」をどう実現するのか

武蔵大学 社会学部
教授
庄司 昌彦

1 「誰一人取り残されないデジタル社会」とは

 政府が現在進めているデジタル改革では、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」という言葉がビジョンとして掲げられている。このビジョンは「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」とも説明されており、地理的な制約や年齢、性別、障害や疾病の有無、国籍、経済的な状況等に関わらず、誰もがデジタル化の恩恵を享受することにより、日常生活等のさまざまな課題を解決し、豊かさを真に実感できることが目指されている。もともと「誰一人取り残されない/誰一人取り残さない」という言葉は国連のSDGs(Sustainable Development Goals)が掲げている理念であり、その精神とも合致しているといえよう。