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2022.08.12

2022年8月号 トピックス デジタル・デモクラシーとネット選挙をめぐる最近の動向と課題、展望

東京工業大学
リベラルアーツ研究教育院
准教授
西田  亮介

1.はじめに

 「デジタル・デモクラシー」という言葉はいったい何を含意しているのであろうか。専門家のあいだではあまり用いられない言葉も未定義のまま広範に流通している。指し示している内容もあまり明確ではないが、恐らくはインターネットやデジタル技術の利用と民主主義(的なもの)の改善が願望されているとみなすことができる。特にデジタル・ネイティブ世代からすれば、「投票所にわざわざ足を運んで、紙に名前を書いて、投票箱に入れる」という選挙における投票行為はアナクロニズムとアナログ技術に覆い尽くされていると感じられても特段不思議ではないし、筆者ですら気分はわからなくはない。もうひとつ革新的なイメージを伴いがちなデジタル化を推し進めれば、長年にわたって自民党が与党の地位を「独占」し、経済、社会の諸指標がだらだらと悪化し続ける日本の「閉塞感」を打ち破れるのではないかという願望があるようにも思われる。