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2022.10.10

2022年10月号 連載企画 イノベーションのためのサービスデザイン no.14 行政におけるコミュニケーションデザイン

株式会社コンセント 代表/武蔵野美術大学 教授/
Service Design Network 日本支部 共同代表
長谷川 敦士

1.サービスデザインとコミュニケーションデザイン

 行政におけるサービスデザインというと、新しい行政施策や、あるいはオンライン手続きなどがイメージされるが、もっとも基本となる行政サービスとしては情報提供が挙げられるだろう。
 ウェブサイトやSNSなどを通じたデジタルデバイスによるものはもとより、市役所や掲示板などでの掲示、市報などのメディアによるものなど多様な情報提供が行われているが、これは行政と市民とをつなぐ基本的な接点であり、すべての礎といえるだろう。今回はこのコミュニケーションのデザインについて取り上げよう。
 行政のコミュニケーションデザインは、自治体ウェブサイトやSNSアカウントの開設などによって、かなり活発になってきたといえる。多くの場合、市民は必要な情報はウェブサイトから入手することが可能であり、また自分の所属する自治体のSNSアカウントをフォローすることによって新しい情報や、タイムリーな情報などの入手に役立てている。