機関誌記事(記事単位)

2022.12.10

2022年12月号 トピックス 組織を超えたデータ活用を推進するために ~データの共通理解推進ガイド・他の解説~

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
社会基盤センター 産業プラットフォーム部 データ活用推進グループ
研究員
堀越 秀朗

1.はじめに

(1)データ活用をとりまく状況
 2013年に世界最先端IT国家創造宣言が閣議決定され、行政におけるデータ活用の重要性が謳われ始めた。これを機に、様々な取り組みが行われ、その一環として共通語彙基盤の公開なども行われた。共通語彙基盤では行政データの活用に必要となる共通的な用語としての共通語彙のあり方や、共通語彙を利用するための技術仕様、分野を超えて共通性がある基本的な用語の集合としてのコア語彙が整備されている。
 2021年にデジタル庁が創設され、日本のデジタル社会実現に向けたより具体的な活動を開始している。また、自治体などの地域行政においても、データを活用した政策推進の気運が高まっており、介護・医療データを利用した生活環境の向上や、就業・教育環境に関するデータを基に地域活性化や人口減少問題の解決を図るなどの試みが行われ始めている。
 IPAデータ活用推進グループ(以下、「当グループ」)では、これらの状況を踏まえて、データ活用推進のためのフィールドを民間にも広げ、先に紹介した行政データ活用の基礎となる共通語彙基盤の公開を含め、組織や業界の垣根を超えてデータを連携し活用するための考え方などを発信している。