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2018.10.10

2018年10月号特集 デジタルファースト法案とIT新戦略への期待

津田塾大学 総合政策学部
教授 森田 朗

1.はじめに

本年6月、政府において「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」が策定され、本計画に基づき「デジタルファースト法案」が提出される予定である。これにより、わが国のデジタル化も新たなステージに進むことになった。

また7月には、厚生労働省の医療等分野情報連携基盤検討会において、「医療等分野における識別子の仕組み」について合意が得られ、今後医療社会保障分野におけるデータの活用が大きく前進することが期待される。

筆者はこの両方の会議に参加し、長く行政や医療分野のデジタル化の推進を主張してきたが、潜在的には世界最先端の能力をもちつつも、その活用に関しては、世界の先進諸国から周回遅れの状態にあるわが国が、ようやく社会のデジタル化に向けて本格的に進み始めたと感じている。

もちろん、克服すべき課題はまだまだあるが、とくにデジタルファースト法の制定によって、社会保障や行政等の分野ごとの部分システムが統合され、社会全体のデジタル化が進むことによる国民の利便性の向上や社会の発展に期待したい。

基本計画等については他の論稿で詳細に説明されているので、ここでは新戦略によってもたらされる展望と課題について述べることにしたい。