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2019.02.08

2019年02月号連載企画 民間企業におけるICT活用事例 No.34 全社横断でデジタル変革を推進 組織づくり、人材育成、基盤整備のポイント

富士フイルムホールディングス株式会社
執行役員 CDO 依田 章
経営企画部 IT企画部長 柴田 英樹

1.写真フィルム需要が激減する中で事業構造を大きく転換

1934年に写真フィルムの国産化を掲げて誕生した総合写真感光材料メーカーから、富士フイルムグループの歴史は始まりました。1936年にX線フィルムの販売を開始し1960年代に海外へ進出、世界一の感光材料メーカーの道を歩み始めました。1986年、世界初のレンズ付フィルム「写ルンです」を発売し写真文化の大衆化に貢献するなど、先進・独自の技術で新たな価値を創造する挑戦の姿勢は、富士フイルムグループのDNAとして今も息づいています。

2000年代に入り、急速なデジタル化の進展により写真フィルムの需要が激減し、本業喪失の危機を迎える中、これまでフィルムの研究・開発・製造で培った高い技術力を軸として事業構造の転換を進めてきました。例えば、写真の色褪せを防ぐための抗酸化技術を活かした機能性化粧品、コラーゲンがおよそ半分を占める写真フィルムで培った高機能素材とエンジニアリング力を活かした再生医療の実用化への取り組みなど、成長分野での事業拡大を図っています。