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2020.10.09

2020年10月号特集 世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画(IT戦略)の概要―デジタル強靱化社会の実現―

内閣官房IT総合戦略室
参事官補佐 神谷 征彦

1.コロナ下でのIT戦略の策定

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、我が国の社会経済活動は激変している。国民一人一人がいわゆる巣籠もり状態での活動を余儀なくされ、これに伴い様々な課題が浮き彫りになった。
今年度の世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画(令和2年7月17日閣議決定。以下「IT戦略」という。)は、足下の感染拡大阻止のためにITを最大限活用しようとする様々な取組が講じられ、また、コロナ後のニューノーマルの世界に向かってIT利活用の不可欠性が加速するとの認識が醸成されていく中で、議論・策定されたものである。例えば、令和2年4月には、内閣官房や厚生労働省を始めとする関係省庁や民間企業から構成される「新型コロナウイルス感染症対策テックチーム(Anti-Covid-19 Tech Team)」が組成され、接触確認アプリを始めとした感染症拡大対策へのIT利活用の検討・具現化が進んだ。また、同年6月には、IT政策担当大臣の懇談会として「ニューノーマル時代のITの活用に関する懇談会」が開催され、アフターコロナとITに関するビッグピクチャーについて有識者からの提言をいただいている(本年7月3日に中間論点整理、同年8月1日に最終報告書公表)。この間、コロナ対応を通じて、IT及びデジタル技術の徹底活用のための環境整備に一刻の猶予もないとの認識が、これまでの取組が十分でなかった、迅速でなかったとの批判も含め、社会全体に幅広く広がったように思われる。「経済財政運営と改革の基本方針2020」(本年7月17日閣議決定。いわゆる「骨太の方針」)において、「新たな日常」構築の原動力として我が国社会全体のデジタル化がうたわれ、デジタル・ガバメントの構築が「一丁目一番地の最優先政策課題」と位置づけられたこともその証左の一つであろう。