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2021.06.02

公共分野デジタル化動向(2021.6.2)

1.ハンドブック「GDX:行政府における理念と実践」を含む調査研究成果物を公開中

2.自治体トップがデザイン思考・DXの事例を語ったセミナーの模様をアーカイブ配信

3.公共分野デジタル化動向
・デジタル改革関連6法、可決・成立 ほか
・東京都、スマートフォンアプリを利用した道路通報システムの試行を都道全域に拡大 ほか
・米国GSA、政府全体のクラウド取得戦略と包括購買契約に関するRFIを提示 ほか

公共分野のデジタル化に関する興味深い「非公式」情報や、政府・行政機関からのお知らせなど、今ホットな話題を紹介します。

 

1.ハンドブック「GDX:行政府における理念と実践」を含む調査研究成果物を公開中

当研究所では2020年度の調査研究事業として、「行政におけるデジタル・トランスフォーメーションの推進に関する調査研究」を実施し、6/1に成果物を公開いたしました。
以下のリンク先より無償でご覧いただけます。

https://www.iais.or.jp/reports/labreport/20210601/dx2020/

【本調査研究について】
本調査研究は、4つの国で進められているDXについて、その経緯や全体の戦略・計画も含めて明らかにした上で、DXによって上げられた成果、現状の課題、具体的なツール・システム・教育等を整理・考察し、今後、我が国行政機関が"DX"を推進するにあたり役立つ知見を、実践的な参考事例とともに提示するものです。
本調査研究の成果物は、行政におけるDXのあり方について問題提起を行うことを目的としたハンドブック『GDX:行政府における理念と実践』、行政機関等によるDX推進の活動の検討・研究の参考として事実情報を体系的に収集・整理した『各国調査レポート』、当研究所会員との間で実施した研究会でのディスカッションの記録から構成されます。

ハンドブック「GDS:行政府における理念と実践」を研究所Webサイトで公開中です。
プレスリリースはこちら(外部リンク)

ぜひ多くの皆様に手に取っていただけますと幸いです。
期間限定にてハンドブックのプリント版も配布しております。
プレスリリースより詳細をご確認ください。

 

2.自治体トップがデザイン思考・DXの事例を語ったセミナーの模様をアーカイブ配信

5月12日~14日にパシフィコ横浜で開催された自治体総合フェアにおいて、当研究所研究員の狩野がモデレーターとして参加したセッションがアーカイブ配信されています。

■新潟県長岡市:磯田市長 × 人間中心設計推進機構:篠原理事長
 →長岡市職員へのデザイン思考導入の挑戦と課題
■長野県CDO:小岩副知事 × 宮崎県都城市CDO:池田市長
 →自治体CDO(最高デジタル責任者)が語るDXの現在とこれから

ご関心の向きは、下記URLから視聴登録を行ってください。(無料)
https://noma-lgf.jp/2021/ (外部リンク)
注)6/1~6/7の期間限定です。

 

3.公共分野デジタル動向

【政府】

■デジタル改革関連6法、可決・成立
デジタル改革関連6法案は、5/12の参院本会議で与党などの賛成多数で可決され、成立しました。関連法は、デジタル庁設置、理念を定めた基本法、個人情報保護制度の見直し、押印等手続きの見直し、行政手続きの効率化等で構成されています。
https://www.digital.go.jp/laws

 

■地方公共団体情報システムの標準化に関する法律、可決・成立
地方公共団体情報システムの標準化に関する法律は、5/12の参院本会議で与党などの賛成多数で可決され、成立しました。政府は、地方公共団体情報システムの標準化の意義及び目標並びに地方公共団体情報システムの標準化のため必要な基準の策定に関する基本的な事項等を含む、基本方針を定めることとされています。
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/204/meisai/m204080204031.htm

 

■政府、「骨太の方針」の骨子を提示
政府は、5/25に経済財政諮問会議を開き、2022年度予算編成に向けた経済財政運営の指針「骨太の方針」の骨子を示しました。次なる時代をリードする新たな成長の源泉として、「グリーン社会の実現」「官民挙げたデジタル化の加速」「新たな地方創生」「子どもを産み育てやすい社会の実現」を新たな経済成長の原動力と位置づけています。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2021/0525/agenda.html

 

■内閣官房IT総合戦略室、デジタル庁(準備中)サイトにてnoteを開設
内閣官房IT総合戦略室は、デジタル庁(準備中)サイト内で、noteでの発信を始めました。
https://note.digital.go.jp/

 

■政府、「ワクチン接種状況ダッシュボード」公開
政府は、新型コロナワクチンの接種状況を可視化する目的で、ダッシュボードおよびオープンデータを公開しました。国全体および都道府県別の数字を提供しており、接種実績データは毎日1回更新されます。
https://cio.go.jp/c19vaccine_dashboard

 

■NISC、サイバーセキュリティ研究開発戦略を改訂
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、サイバーセキュリティ研究開発を検討・推進するためのビジョンを示した「サイバーセキュリティ研究開発戦略」の一部改訂案を決定し、公表しました。
https://www.nisc.go.jp/active/kihon/pdf/kenkyu2021-kettei.pdf

 

■経済産業省DX室、ゼロトラストの概念を取り入れた「デジタルツール導⼊実証・調査事業報告書」を公開
経済産業省デジタル・トランスフォーメーション室(DX室)は、ゼロトラストアーキテクチャの概念を取り込んだ環境を構築し、実証・調査を行った結果を、報告書としてとりまとめました。本報告書では、実際にゼロトラストの概念を取り入れた実証環境を構築した上で、さまざまなクラウド関連ツールを試験的に運用し、その知見をまとめています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000063544.html

 

■経済産業省、デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2021選定企業発表会を開催
経済産業省は6/7に、東京証券取引所と共同で「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」を選定し、「DX銘柄2021」及び「DX注目企業2021」の選定企業を発表します。今年度は、「DXグランプリ企業」のほか、新型コロナウイルス感染症を踏まえた対応に関して、デジタル技術を利活用し、優れた取組を実施した企業を「コロナ部門」として選定します。
https://www.meti.go.jp/press/2021/05/20210525006/20210525006.html

 

■経済産業省、機器のサイバーセキュリティ確保のためのセキュリティ検証の手引きを取りまとめ
経済産業省は、「機器のサイバーセキュリティ確保のためのセキュリティ検証の手引き」を公開しました。本手引きは、セキュリティ検証サービスの高度化を目的とするもので、機器のセキュリティ検証において検証サービス事業者が実施すべき事項や、より良い検証サービスを受けるために検証依頼者が実施すべき事項及び持つべき知識などについて整理したものです。
https://www.meti.go.jp/press/2021/04/20210419003/20210419003.html

 

■総務省、デジタル活用支援の事業実施計画等の公表
総務省は、高齢者等のデジタル活用を支援する取組について、本年度の事業実施計画を策定しました。本年度は、携帯ショップ等の協力を得て、6月から全国1,800カ所以上で約9万回の講習会の開催を計画しています。来年度以降もこの講習会を継続し、5年間で延べ1,000万人の参加を目指すほか、他府省・地方公共団体などと連携し、デジタル活用支援を国民運動として盛り上げていきます。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000306.html

 

■総務省、データサイエンス・オンライン講座「社会人のためのデータサイエンス入門」を開講
総務省は、統計リテラシー向上の取組として、将来の経済成長を担う“データサイエンス”力の高い人材育成のため、データサイエンス・オンライン講座「社会人のためのデータサイエンス入門」を開講します。本講座は、社会人・大学生を対象とした、データ分析の基本的な知識を学べる入門編講座で、今年7/7まで誰でも無償で受講が可能です。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01toukei09_01000062.html

 

■総務省、「ポストコロナ」時代におけるデジタル活用に関する懇談会報告書(案)に関する意見募集
総務省は、昨年10/23から開催している「「ポストコロナ」時代におけるデジタル活用に関する懇談会」の報告書(案)について、5/29から6/18までの間、意見を募集しています。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin01_02000318.html

 

 

 

【自治体】

■東京都、スマートフォンアプリを利用した道路通報システムの試行を都道全域に拡大
東京都は、ICTを活用し道路の損傷や不具合を簡易に投稿することができる道路通報システムの試行エリアを拡大します。道路通報システムは、東京大学等が中心となって開発した「My City Report for citizens」というスマートフォンアプリを用いて、道路の損傷や不具合を発見した際に、都民の皆様に投稿していただく仕組みです。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001766.000052467.html

 

■静岡県、新たな働き方を目指して「スマートワークセンター」を設置
静岡県は、県庁におけるペーパーレス化とICTを活用した業務革新を目指し、県庁東館15階に「スマートワークセンター」を設置しました。センター内には、紙保管文書の電子データ化を推進する「ペーパーレスラボ」も開設されました。
https://www.pref.shizuoka.jp/soumu/so-030/smartwork.html

 

■岐阜県、県内市町村40団体でAIチャットボットサービスを共同利用
岐阜県及び県内市町村40団体は、住民からの問い合わせにAIチャットボットが回答する「AIスタッフ総合案内サービス」を共同利用することを決定しました。住民からの問い合わせに県および市町村が連携して回答することで行政デジタル化に貢献します。
https://www.mri.co.jp/news/press/20210517.html

 

■笠間市、Web完結型クラウド契約サービスを導入
茨城県笠間市は、電子契約の実証実験を踏まえ、今年7月を目処に規則の改正や事業者説明を進め、Web完結型クラウド契約サービスの導入を順次導入します。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000143.000044347.html

 

■加賀市、日本初の「e-加賀市民制度(加賀版e-Residency)」の提供へ
石川県加賀市は、日本初のe-Residency(電子市民)プログラムとなる「e-加賀市民制度(加賀版e-Residency)」を発表しました。デジタル個人認証技術でマイナンバーカードや国民ID等と紐づけ、様々な分野で市民に準じた行政サービス等を提供します。今年度中の提供開始予定です。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000071698.html

 

■加賀市、ドローンで医薬品配送 全国初、3D地図活用で有人エリア飛行
石川県加賀市は、全国で初めて3D地図を利用し、住宅や道路など有人エリア上空を飛行するドローンの実証実験を行いました。市内の薬局から市文化会館までの約3キロを14分で飛行し、医薬品を配送しました。市は今年度中に市内全域の3D地図を整備し、民間企業などが活用できる環境を整える方針です。
https://www.city.kaga.ishikawa.jp/material/files/group/101/DroneDemonstration.pdf

 

■塩尻市、職員採用試験の申し込みをネットに限定
長野県塩尻市は、来年度に採用する市職員の採用試験の申し込み方法を、インターネットからの応募のみとし、履歴書等の紙ベースでの書類の郵送や提出は一切不要としました。
https://www.city.shiojiri.lg.jp/gyosei/saiyo/jinjika.html

 

■高知県日高村、チェンジ、KDDI、「村まるごとデジタル化事業」を共同で推進する連携協定を締結
高知県日高村は、Society 5.0の実現に向け、公的サービスの質向上や地域のコミュニケーション活性化に取り組む「村まるごとデジタル化事業」の推進を目的に、株式会社チェンジおよびKDDIと包括的連携協定を締結しました。3者は、スマートフォンの普及促進活動や防災・健康・地域通貨・メッセンジャーなどのスマートフォンアプリの利用促進を通じて、2021年度中に、日高村で生活する住民のスマートフォン普及率100%およびアクティブ率100%の実現を目指します。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000033931.html

 

■熊本市、AIチャットボットを導入 多言語による観光案内を自動化
熊本県熊本市は、多言語対応観光案内チャットボットを導入しました。熊本市の観光案内やまちあるきの満足度向上などによくある質問を多言語(7言語)対応のAIチャットボットにて回答し、観光客のニーズや嗜好性に合わせた観光提案を効率的に案内します。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000024332.html

 

■大阪市において、賃貸契約と水道使用開始手続きをワンストップで実施する実証実験を開始
日立製作所、積水ハウス、企業間情報連携推進コンソーシアム は、大阪市の協力のもと、大阪市内の賃貸物件について、同意を得られた入居者を対象に、積水ハウスの賃貸契約と大阪市への水道使用開始に関する一連の手続きを、ワンストップで実施する実証実験を開始しました。積水ハウスと大阪市の間で、ブロックチェーン技術を活用した官民データ連携の検証を行います。
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2021/05/0519.html

 

■KDDI、位置情報ビッグデータ分析ツールを全国自治体へ無償提供 新型コロナウイルス感染症対策に活用
KDDIは、新型コロナウイルス感染症対策に活用いただくことを目的に、4/27から7/31までの期間中、位置情報ビッグデータ分析ツール「KDDI Location Analyzer」を全国の地方自治体へ無償提供します。本ツールを用いることで、新型コロナウイルス感染症対策の立案に向けた人流データの分析などに活用できます。
https://k-locationanalyzer.com/information/2201/

 

■PwCコンサルティング、自治体DXを進めるための自治体向けガイドラインを提供開始
PwCコンサルティングは、自治体DXを進めるための自治体向けガイドライン「自治体DXを契機とするヒューマンセントリックな変革推進のためのガイドライン」を作成し、無償提供を開始しました。
https://www.pwc.com/jp/ja/industries/gps/assets/pdf/pwc-humancentric-digital-transformation.pdf

 

 

 

【海外】

■米国GSA、政府全体のクラウド取得戦略と包括購買契約に関するRFIを提示
米国一般調達局(GSA)は、商用のSoftware-As-A-Service(SaaS)、Platform-As-A-Service(PaaS)、およびInfrastructure-As-A-Service(IaaS)の包括購買契約(BPA)に対するGSAの買収戦略についてRFIを提示しました。クラウドサービスプロバイダーや業界パートナーからのコメントを求めています。
https://www.gsa.gov/about-us/newsroom/news-releases/gsa-seeks-industry-feedback-on-governmentwide-cloud-acquisition-strategy-blanket-purchase-agreement-05132021

 

■米国GSA、新たなSAM.govを公開
米国一般調達局(GSA)は、連邦政府との取引をする際に企業が法人情報等を登録するサイト(SAM.gov)と、契約機会の検索や賃金決定等を行うサイト(beta.SAM.gov)を統合し、新たなSAM.govを公開しました。このサイトのデザインは、21世紀の統合デジタルエクスペリエンス法(IDEA)によって義務付けられている最新の米国Webデザインシステム(USWDS)標準とベストプラクティスを実装しています。
https://www.gsa.gov/about-us/newsroom/news-releases/gsa-unveils-new-improved-and-more-secure-samgov-05242021

 

■英国CCS、容量の変更に柔軟に対応可能なクラウドホスティングの調達を可能に
英国王立商務局(CCS)は、需要の変化に合わせて迅速にスケールアップ/スケールダウンできるクラウドホスティングの契約を行い、CCSから購入できるようにしました。新しい契約を通じて提供される製品は、Infrastructure-as-a-Service(IaaS)およびPlatform-as-a-Service(PaaS)として定義されており、需要の変化に合わせて迅速に拡張可能です。
https://www.crowncommercial.gov.uk/news/new-cloud-compute-agreement-awarded-for-hyperscale-cloud-hosting

 

■英国GDS、2021-2024年に向けた戦略の公表
英国GDSは、2021年から2024年までの戦略を明らかにしました。重要なミッションとして、「唯一の信頼できるソースであり続けること」「単一IDによるデジタルソリューション」「共通ツールと専門家の提供」などを掲げています。
https://gds.blog.gov.uk/2021/05/20/government-digital-service-our-strategy-for-2021-2024/

 

■豪州DTA、ウェブサイトのテストツールを提供
豪州デジタルトランスフォーメーション庁(DTA)のgov.au Observatoryは、Google Optimize360の提供を開始しました。これは、さまざまなWebサイト要素をテストし、特定のユーザーニーズに合わせてパーソナライズされたエクスペリエンスを作成できる最適化ツールで、年内は無償で利用できます。
https://www.dta.gov.au/blogs/website-personalisation-and-testing-made-easy

 

 

(編集) 行政情報システム研究所 主任研究員 平野隆朗