公共分野のデジタル化に関する興味深い情報や、政府・行政機関からのお知らせなど、今ホットな話題を紹介します。
1.公共分野デジタル化動向
【政府】
■内閣府・総務省・経済産業省・国土交通省、令和4年度のスマートシティ関連事業の選定結果公表
内閣府・総務省・経済産業省・国土交通省は、スマートシティの全国での計画的な実装に向けた取組の一環として、令和4年度のスマートシティ関連事業を7/13(水)に選定しました。選定結果は51地域、54事業で、うち33地域が事業間連携を実施するとのことです。
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20220713smartcity.html
■NISC、「情報システムに係る政府調達におけるセキュリティ要件策定マニュアル(SBDマニュアル)」改定
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、7/29(金)に、「政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準」の改定(令和3年7月)及び「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」の 改定(令和4年4月)に伴い、「情報システムに係る政府調達におけるセキュリティ要件策定マニュアル(SBDマニュアル)」について所要の見直しを行いました。また、クラウドサービスの基本的なセキュリティ対策の設定項目等を示した「別冊.クラウド設計・開発編」の策定も行いました。
https://www.nisc.go.jp/policy/group/general/sbd_sakutei.html
■デジタル庁、「トラストを確保したDX推進サブワーキンググループ 報告書」公表
デジタル庁は、7/29(金)に「トラストを確保したDX推進SWG」での検討結果、構成員及びオブザーバーからの主要な意見、今後の方向性をまとめ、報告書として公表しました。本文書では、トラストサービスのニーズ及び導入課題の洗い出し、実態調査を踏まえたトラストの確保のための検討、今後のトラスト実装のユースケース及び推進体制の整理の議論の結果及び今後の検討の方向性がまとめられています。
https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/658916e5-76ce-4d02-9377-1273577ffc88/1d463bfc/20220729_meeting_trust_dx_report_01.pdf
■デジタル庁、情報システム調達改革検討会(第2回)開催
デジタル庁は、8/1(月)に情報システム調達改革検討会(第2回)を開催しました。本会では、アジャイル開発・準委任契約を含む調達・契約方法の在り方やクラウドサービス調達時の契約、デジタルマーケットプレイス等について議論されました。
https://www.digital.go.jp/councils/b2cd2414-9e37-444b-93d7-1df08e3d1523/
■デジタル庁、「デジタルを活用した交通社会の未来2022」決定
デジタル庁は、8/2(火)に、デジタル社会推進会議幹事会(第4回)において、「デジタルを活用した交通社会の未来2022」を決定しました。本文書では、ITS・自動運転に係る政府全体の戦略である「官民ITS構想・ロードマップ」を発展的に継承し、デジタルを活用した交通社会の未来をどう描くかを示しています。
https://www.digital.go.jp/news/22791050-006d-48fd-914d-e374c240a0bd/
■デジタル庁、デジタル臨時行政調査会作業部会(第12回)開催
デジタル庁は、8/9(火)にデジタル臨時行政調査会作業部会(第12回)を開催しました。本会では、デジタル臨調の取組の現状と今後の予定について、またテクノロジーマップ整備に向けた技術検証・評価ワーキング・グループの開催について討議し、目視規制、定期検査・点検規制について関係省庁からヒアリングを実施しました。
https://www.digital.go.jp/councils/c31fff19-1977-4dc2-9824-92e40bd81e06/
■総務省、情報通信白書令和4年版を公表
総務省は、7/12(火)に情報通信白書令和4年版を公表しました。本文書では、特集テーマを「情報通信白書刊行から50年~ICTとデジタル経済の変遷~」とし、過去50年間での変化を時系列で振り返るとともに、今後の日本社会におけるICTの展望を明記しています。またICT技術政策の推進等、9つの軸から総務省におけるICT政策の取組状況を提示しています。
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/r04.html
■総務省、地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの改定等に係る検討会(第5回)開催
総務省は、7/12(火)に、地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの改定等に係る検討会(第5回)を開催しました。本会では、サイバーセキュリティに関する基準及び地方公共団体の情報システムのクラウド利用等に関する情報セキュリティポリシーガイドライン改定方針について、地方公共団体の基幹業務システムの標準非機能要件についてが討議されました。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/chiho_security/02gyosei07_04000156.html
■総務省、AIネットワーク社会推進会議「報告書2022」公表
総務省は、AIネットワーク社会推進会議で実施したヒアリング等により収集した取組事例や海外動向等を踏まえて「報告書2022」をとりまとめ、7/25(月)に公表しました。本文書では、AIネットワーク化をめぐる最近の動向、 「安心・安全で信頼性のあるAIの社会実装」の推進の取組等について取りまとめを実施しています。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000110.html
■総務省、「クラウドサービスの利用・提供における適切な設定のためのガイドライン」(案)を公表し意見及び取組事例募集
総務省は、7/25(月)に、クラウドサービス利用・提供における適切な設定を推進するため「クラウドサービスの利用・提供における適切な設定のためのガイドライン」(案)を作成し、当該ガイドライン案について意見募集を開始しました。併せて、クラウドサービスの適切な設定を推進する取組について事例の募集を開始しました。期限はいずれも8/24(水)までです。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01cyber01_02000001_00141.html
■総務省、「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会」(第1回)開催
総務省は、8/1(月)に「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会」(第1回)を開催しました。本会は、メタバース等の利活用やWeb3の市場が拡大しつつある中、利用者利便の向上、その適切かつ円滑な提供及びイノベーションの創出に向け、ユーザの理解やデジタルインフラ環境などの観点から様々なユースケースを念頭に置きつつ情報通信行政に係る課題を整理することを目的としています。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/metaverse/index.html
■経済産業省、「大臣官房Web3.0政策推進室」設置
経済産業省は、7/15(金)に省内横断組織として「大臣官房Web3.0政策推進室」を設置しました。資金調達・税制・事業体(ビークル)などの事業環境担当課室やコンテンツ・スポーツ・ファッション・アートなどの業種担当課室が一体で、デジタル庁等の関係省庁と協働し、ブロックチェーンを基盤としたWeb3.0に関連する事業環境課題を検討する体制を強化することが目的です。
https://www.meti.go.jp/press/2022/07/20220715003/20220715003.html
■経済産業省、「アジャイル・ガバナンスの概要と現状」報告書を取りまとめ
経済産業省は、8/8(月)に「アジャイル・ガバナンスの概要と現状」報告書を取りまとめました。本文書はSociety5.0を実現していくための「アジャイル・ガバナンス」の概要と近時の具体的な取組例を示すものです。2021年に公表した前版へ寄せられた要望を受け、アジャイル・ガバナンスを実装するために必要な環境整備とインセンティブ設計について国内外の具体例も踏まえつつ示す等のアップデートを掛けています。
https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220808001/20220808001.html
【自治体】
■東京都、「シン・トセイ加速化方針2022」公表
東京都は、7/29(金)に「シン・トセイ加速化方針2022」を公表しました。本文書は都政の「政策イノベーション」を起こすことを目的とし、「政策効果を素早く都民に届けるため、事業展開をスピードアップする」「庁内横断のチームで、スタートアップとの協働を更に推進する」等の5つの方針を示したものです。
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/07/29/06.html
■東京都、「Tokyo区市町村DX賞」新設
東京都は、8/5(金)に、都及び全区市町村の審査により選考された、デジタルを活用した優れた取組を表彰する「Tokyo区市町村DX賞」の新設を発表しました。これは「夏のDigi田甲子園」にエントリーした延べ35区市町村の37取組が対象となっており、顧客視点でのサービスデザインであることなどの視点を基に、2部門において1位~3位を表彰するものです。
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/08/05/06.html
■広島県、公共土木施設に関するインフラマネジメント基盤「DoboX」の運用開始
広島県は、6/28(火)に、公共土木施設等に関するあらゆる情報を一元化・オープンデータ化し、外部システムとのデータ連携を可能とするインフラマネジメント基盤「Dobox」を運用開始しました。本システムでは,浸水想定区域や土砂災害警戒区域等の災害リスク情報や公共土木施設等の情報を、3Dマップや地図上で確認することができます。オープンデータは3次元点群データも含まれており、個人や民間企業、研究機関など誰でも利用可能ということです。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/hiroshimadejihurakousou/dobox2.html
■広島県、スマートフォンカメラにおける土砂災害警戒区域のAR表示機能を運用開始
広島県は、6/27(月)に、スマートフォンカメラにおける土砂災害警戒区域のAR表示機能を運用開始しました。本機能は、現在地周辺の土砂災害警戒区域等をスマートフォンのカメラ映像画面に表示するものです。「平成 30 年7月豪雨災害に関する県民の避難行動調査」において、早めの避難を促すためには疑似体験を通じて豪雨災害への正確なイメージを持つことが重要と明らかになったことを背景とし、本取組が開始されました。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/489009.pdf
■江戸川区、配達員保険システムの実証実験実施
東京都江戸川区は、7/26(火)に、準天頂衛星システム「みちびき」とブロックチェーンを用いた配達員保険システム(株式会社CAC提供)の実証実験を実施しました。本取組は、フードデリバリーサービス配達員による危険運転問題を解決することが目的です。実証実験では、リアルタイムで収集した配達員の位置情報から走行の安全性を正しく評価できるか、またその結果から各配達員の保険料を正しく計算できるかの検証を実施しました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000024483.html
■横浜市、AIロボットの音声技術を活用した電話問合せ対応の実証実験開始
神奈川県横浜市は、7/22(金)にAIロボットの音声技術を活用した電話問合せ対応の実証実験を開始しました。本サービスは、空きのあるワクチン接種の場所を自動で案内するものです。音声認識等の技術を用いたAIロボットにより市民サービスの充実を図るとともに、電話上のコミュニケーションを自動化し「新型コロナウイルスワクチン接種コールセンター」の負荷を軽減させることが目的です。LGWANに接続した自動音声ガイダンスを基礎自治体で導入するのは全国初の取組となります。
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kenko-iryo/yobosesshu/vaccine/vaccine-portal/aicall.html
■横浜市、第2回「横浜市アイデアボックス」実証実験開始
神奈川県横浜市は、7/22(金)に、市民の声を聴く新たな広聴ツールとしての可能性を検討するため、「横浜市アイデアボックス」を活用した第2回の実証実験を開始しました。第2回は脱炭素をテーマとしたアイデアや、デジタルプラットフォームの活用についての意見を募集しています。募集期間は8/16(火)までです。
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/shimin/2022/0721ideabox.html
■田原市、道路点検AIシステムを導入した新しい道路管理開始
愛知県田原市は、7/1(金)に、道路点検AIシステム「ドラレコ・ロードマネージャー」(三井住友海上火災保険株式会社)を導入し、道路の損傷状況を検知・診断する取組を開始しました。本取組は、ドライブレコーダーを搭載した公用車両の走行により自動収集した路面データを基にAIが損傷個所を自動検知することで、道路管理業務の効率化・高度化を推進することが目的です。
https://www.city.tahara.aichi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/009/354/2204/06ai.pdf
■熊本市、学校体力テストデータ集計管理分析システム導入
熊本県熊本市は、7/21(木)に学校体力テストのデジタル化システム「DOSA SCHOOL」(一般社団法人スポーツ能力発見協会)を導入しました。本システムは、児童がタブレット型端末に体力テストのデータを入力すると、分析結果や各々の長所短所が閲覧できるものです。地方自治体として、児童生徒のタブレット型端末を活用した学校体力テストのデジタル化は、日本初の取組ということです。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000101244.html
【海外】
■欧州委員会、報告書「デジタル単一市場と公共部門のデジタル化」公表
欧州委員会は、7/25(月)に報告書「デジタル単一市場と公共部門のデジタル化」を公表しました。本文書は、デジタルの観点において政府や企業の公共部門、市民が抱える課題の内容を調査した上で、調達プロセスをどのように改善すべきかについて提言を行ったものです。
https://joinup.ec.europa.eu/sites/default/files/news/2022-07/IPOL_STU%282022%29703356_EN%5B1%5D.pdf
■欧州委員会、報告書「2022年デジタル経済・社会指数(DESI)」発表
欧州委員会は、7/28(木)に報告書「2022年デジタル経済・社会指数(DESI)」を公表しました。本文書において、本年はフィンランドが1位となったこと、また同国の強みとして行政の垣根を超えてデジタル化の取組が行われ、持続可能な未来をつくるために技術が効果的に活用されていること等が示されています。
https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/library/digital-economy-and-society-index-desi-2022
■アイルランド政府、「イノベーションのための国家スマート特化戦略2022-2027」公表
アイルランド政府は、7/11(月)に「イノベーションのための国家スマート特化戦略2022-2027」を公表しました。本文書では「国・地域の企業研究・イノベーションシステムの改善」や「企業のGX」など、5つの優先分野について投資を進めていくことが示されています。
https://www.gov.ie/en/publication/2aa15-national-smart-specialisation-strategy-for-innovation-2022-2027/
■英国BEIS・DCMS・OfficeforAI、「AIアクションプラン」公表
英国BEIS(ビジネス・エネルギー・産業戦略省)・DCMS(デジタル・文化・メディア・スポーツ省)・OfficeforAIは、7/18(月)に「AIアクションプラン」を公表しました。本文書は、昨年9月に策定された「国家AI戦略」に対し、「AIエコシステムの長期的なニーズに対応するための投資」等3つの観点から各政府省庁の進捗を示したものです。
https://www.gov.uk/government/publications/national-ai-strategy-ai-action-plan/national-ai-strategy-ai-action-plan
■英国内務省、国境デジタル化に向けた計画を公表
英国内務省は、7/20(水)に国境デジタル化に向けた計画を発表しました。本計画では、事前審査及び国境における最新技術を活用した本人確認によって、電子ゲートの通過及び入国管理官とのやり取りを経ずに英国に入国できるようにするとしています。本発表は、同省が6月に発表した「移民制度に関する新計画」の一環として行われたものです。
https://www.gov.uk/government/news/home-secretary-announces-plans-for-contactless-digital-border
■英国NAO、「政府データの運用改善:責任者向けガイド」公表
英国NAO(会計検査院)は、7/21(木)に「政府データの運用改善:責任者向けガイド」を公表しました。本文書は行政サービスの提供にあたる責任者を対象とし、データの共有や品質の担保、標準化、分析等の各運用プロセスにおいて生じ得る課題の内容や対処法等について考察したものです。
https://www.nao.org.uk/wp-content/uploads/2022/07/Improving-government-data-a-guide-for-senior-leaders.pdf
■中国サイバースペース局、報告書「数字中国発展報告(2021年)」公表
中国サイバースペース局は、8/2(火)に報告書「数字中国(デジタルチャイナ)発展報告(2021年)」を公表しました。本文書は、これまでの数字中国発展の成果やインフラのデジタル化が社会に与えた影響、国内各地域におけるデジタルの発展レベルの評価、2022年の見通し等を示したものです。
http://www.cac.gov.cn/2022-08/02/c_1661066515613920.htm
■台湾行政院、「デジタル発展省」(8/27発足予定)の初代大臣として唐鳳氏の着任を公表
台湾行政院は、8/5(金)に、「デジタル発展省」(8/27発足予定)の初代大臣として唐鳳(オードリー・タン)氏の着任を公表しました。同省には付属機関として「デジタル産業署」や「情報セキュリティー署」が設置される予定です。
https://www.ey.gov.tw/Page/AF73D471993DF350/cb942b78-a033-4d19-8c0c-1ae1e22cabe7
■米国CISA・豪ACSC、2021年に観測されたマルウェアの上位リストを公表
米国CISA(サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁)・豪ACSC(サイバーセキュリティセンター)は共同で、8/2(火)に、2021年に観測されたマルウェアの上位リストを公表しました。本文書によると、上位はリモートアクセス型トロイの木馬(RAT)、ランサムウェア等が含まれているということです。マルウェアに対する緩和策としては、可能な限り多要素認証を実施すること等を挙げています。
https://www.cisa.gov/uscert/ncas/alerts/aa22-216a
(編集) 行政情報システム研究所 研究員 小池千尋