公共分野のデジタル化に関する興味深い情報や、政府・行政機関からのお知らせなど、今ホットな話題を紹介します。
1.公共分野デジタル化動向
【政府】
■内閣官房、「夏のDigi田甲子園」結果発表
内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局は、今夏に開催した「夏のDigi田甲子園」の結果を8/30(火)に発表しました。内閣総理大臣賞を受賞したのは、福岡県北九州市、山形県酒田市、群馬県嬬恋村、群馬県前橋市です。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/koushien.html
■デジタル庁、デジタルの日公式サイトを公開
デジタル庁は、8/26(金)にデジタルの日の公式サイトを公開しました。本サイトでは、賛同企業・団体の取組紹介やgood digital award受賞者の紹介、10/2(日)に行うオンラインイベントの情報等を順次更新することとしています。
https://digital-days.digital.go.jp/
■デジタル庁、マイナンバーカードの普及と健康保険証利用に関する関係府省庁会議(第7回)開催
デジタル庁は、8/9(火)にマイナンバーカードの普及と健康保険証利用に関する関係府省庁会議(第7回)を開催しました。本会では、関係府省庁申合せの改正について、また全業所管官庁を通じた計画的な取組として「マイナンバーカードの普及の推進に関するタスクフォース」の状況、オンライン申請用QR コード付きマイナンバーカード交付申請書の送付に関する周知等について議論されました。
https://www.digital.go.jp/councils/aacc90ee-b603-488b-affb-8915c3a8ef14/
■河野デジタル相、デジタル法制局設置を発表
河野デジタル相は、8/30(火)に実施された記者会見の中で、デジタル臨時行政調査会の配下にデジタル法制局を設置したことを明らかにしました。現在の体制は、審議官をヘッドにして17人です。今秋の臨時国会から、デジタル臨時行政調査会が進めるアナログ規制に逆行するような条項が入ってこないかを審査するということです。
https://www.digital.go.jp/news/minister-220830-01/
■デジタル庁、デジタル臨時行政調査会作業部会(第13回)開催
デジタル庁は、8/30(火)にデジタル臨時行政調査会作業部会(第13回)を開催しました。本会では、FD等の記録媒体を指定する規制の見直しや行政サービスのデジタル完結に向けた内容が議論されるとともに、常駐・専任規制、対面講習規制、書面掲示規制、往訪閲覧・縦覧規制について関係省庁からヒアリングが実施されました。
https://www.digital.go.jp/councils/f0c4ebf4-bd96-49f3-bd84-cb0653629b25/
■デジタル庁、データ戦略推進ワーキンググループ(第4回)開催
デジタル庁は、9/6(火)にデータ戦略推進ワーキンググループ(第4回)を開催しました。本会では、データ戦略の推進状況、世界で進むデータ駆動社会への戦略的取組、データ戦略の今後の推進について議論されました。
https://www.digital.go.jp/councils/b565c818-75f4-4990-9125-dd43af8362ba/
■デジタル庁、設立1年の活動報告を公開
デジタル庁は、デジタル庁の設立から1年が経過したことを受け、2021年9月から2022年8月までの活動を9/1(木)に報告しました。またデジタル庁の注力領域として、「3つの柱」を次の通り定義しました。
1.生活者、事業者、職員にやさしい公共サービスの提供
2.デジタル基盤の整備による成長戦略の推進
3.安心安全で強靭なデジタル基盤の実現
https://www.digital.go.jp/policies/report-202109-202208/
■総務省、「ICTサイバーセキュリティ総合対策2022」公表
総務省は、「ICTサイバーセキュリティ総合対策2022」を策定し8/12(金)に公表しました。本文書は「情報通信ネットワークの安全性・信頼性の確保」「サイバー攻撃への自律的な対処能力の向上」「国際連携の推進」「普及啓発の推進」の4点を柱として、総務省において今後重点的に取り組むべき施策を取りまとめています。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01cyber01_02000001_00142.html
■総務省、「住民記録システム標準仕様書【第3.0版】」等を公表
総務省は、自治体システム等標準化検討会(住民記録システム等標準化検討会)で取りまとめた「住民記録システム標準仕様書【第3.0版】」「印鑑登録システム標準仕様書【第2.0版】」「戸籍附票システム標準仕様書【第1.0版】」を8/31(水)に公表しました。このうち、住民記録システム標準仕様書、印鑑登録システム標準仕様書については、デジタル庁にて定めたデータ要件・連携要件標準仕様書、共通機能標準仕様書及び標準仕様書間の横並び調整方針等を踏まえた機能修正等を実施しています。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei07_02000138.html
■総務省、「選挙人名簿管理システム標準仕様書【1.0版】」公表
総務省は、自治体システム等標準化検討会(選挙人名簿管理システム等標準化検討会)で取りまとめた「選挙人名簿管理システム標準仕様書【1.0版】」を8/31(水)に公表しました。本仕様書は、同検討会に設置されたワーキングチームにおける議論や、全国の市区町村及び一般財団法人全国地域情報化推進協会(APPLIC)への意見照会結果を基に取りまとめられたものです。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/jichitai_senkyonin/02gyosei15_04000100.html
■総務省、「税務システム標準仕様書【第2.0版】」公表
総務省は、自治体システム等標準化検討会(税務システム等標準化検討会)で取りまとめた「税務システム標準仕様書【第2.0版】」を8/31(水)に公表しました。直近の税制改正内容の反映、実現性評価を踏まえた見直し、帳票印字項目・諸元表、帳票レイアウトの見直し、都道府県への報告等の観点で前版からの変更があるということです。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/zeimu_hyojunka/02zeimu02_04000350_00001.html
■総務省、「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」等の改定
総務省は、「地方自治体のデジタルトランスフォーメーション推進に係る検討会」での議論を踏まえ、「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」等を9/2(金)に改定しました。重点計画やデジタル田園都市国家構想基本方針等において国が掲げる理念や基本戦略、支援策等をDX計画に盛り込むことで、自治体の取組を後押しすること等を主な改定内容としています。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei07_02000139.html
■経済産業省、公共施設・自治体窓口におけるキャッシュレス決済導入手順書(第3版)を取りまとめ
経済産業省は、8/19(金)に公共施設・自治体窓口におけるキャッシュレス決済導入手順書(第3版)を取りまとめました。本文書は、キャッシュレス推進協議会が2019年度に策定した公共施設・自治体窓口におけるキャッシュレス決済導入手順書をさらに充実させたものとなっています。
https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220819002/20220819002.html
■国土交通省、道路政策ビジョン「今、道路の景色を変えていく~2040年道路政策ビジョンへのロードマップ~」公表
国土交通省は、8/31(水)に道路政策ビジョン「今、道路の景色を変えていく~2040年道路政策ビジョンへのロードマップ~」を公表しました。本文書は道路政策を取り巻く昨今の状況もふまえ、ビジョンの実現に向けた委員の意見をとりまとめた上で、道路施策の取組みとその進捗や予定を時系列でまとめたものです。自動運転への道路側の支援、xROAD(データプラットフォーム)の構築とデータの利活用等を当面の取組としています。
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001499666.pdf
【自治体】
■長野県、「信州P-TECH」の参加企業を募集
長野県は、教育委員会及び信州ITバレー推進協議会の3者の連携と協力により、産業界が必要とするものづくりの技術を有したDX人材を、地元企業・高等学校・工科短大が連携して育成する取り組み「信州P-TECH」の参加企業を、9/7(水)に募集開始しました。参加企業の役割は、各種事業への協力(メンタリング(技術講演含む)の実施、インターンシップの受入等)、教育プログラム策定に係る支援等としています。
https://www.pref.nagano.lg.jp/jinzai/happyou/0907press.html
■東京都、「都庁DXアワード」新設
東京都は、8/23(火)に、都庁内のデジタルを活用した素晴らしい実践の取組を表彰する「都庁DXアワード」を新設しました。都政現場における創意工夫に光を当て、庁内外に広く共有することで、都庁全体のDXの推進を目指します。今回のベスト都庁DXアワードとして選出されたのは、「豊洲市場の衛生監視業務のデジタル化(福祉保健局)」です。
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/08/23/08.html
■東京都、「GovTech東京」構想を発表
東京都は9/9(金)に、都と区市町村を含めた東京全体のDXを効果的に進めるため行政と民間が協働して斬新でイノベーティブなサービスを生み出す新たなプラットフォームとして、2023年に新組織「GovTech東京」の設立構想を発表しました。同組織はデジタルサービス局との協働体制を構築し、「都庁各局DX」「デジタル基盤強化・共通化」等6つの機能を発揮することとしています。
https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/policy/dx_newpolicy.pdf
■群馬県、「Web3推進プロジェクトチーム」設置
群馬県は8/26(金)に、デジタルトランスフォーメーション戦略課内に、若手職員を中心に構成した「Web3推進プロジェクトチーム」を設置しました。NFTをはじめとした、ブロックチェーン上の技術やサービスであるWeb3、またその活用の場として有力なメタバースなどを、県民の利便性向上や県民幸福度向上に寄与するツールとして活用していくため、全庁的に推進することが目的です。
https://www.pref.gunma.jp/houdou/cn02_00029.html
■大阪府、DXイニシアティブ会議(第1回)開催
大阪府は、8/26(金)に大阪DXイニシアティブ会議(第1回)を開催しました。本会は、大阪の自治体におけるデジタル改革を進め、住民サービスの向上と行政の業務効率化を実現するため、府庁のDXと市町村のDX支援に取り組むことを目的としています。第1回は、大阪府におけるスマートシティの取組みについて議論されました。
https://www.pref.osaka.lg.jp/senryaku_kikaku/osaka_dx_initiative/initiative1.html
■長井市、バイタルデータを活用したトータルストレスマネジメントの実証実験を開始
山形県長井市は、IoT技術を用いて計測したバイタルデータを活用し、カウンセラーによるマインドケアまで一貫してオンラインで行う「マインドスケール」(株式会社Yume Cloud Japan)を使用したトータルストレスマネジメントの実証実験を9/7(木)に開始しました。災害やコロナ禍において疲弊が懸念される自治体職員の予防的なストレスマネジメントを行うことが主な検証目的です。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000024394.html
■品川区、戸籍専門書籍の電子書籍AI検索サービスを利用開始
東京都品川区は、戸籍関連専門書籍を電子データ化しAIで速やかに幅広く検索できる「電子書籍AI検索サービス」の利用を、8月26日(金)から開始しました。電子データ化したのは、戸籍関連書籍の出版社である日本加除出版(株)の専門書籍を中心とした約370冊で、同社の電子書籍をAI検索サービスに活用したのは全国で初めてです。同サービスの導入で、戸籍事務における業務効率化・区民対応の時間短縮と正確性の向上を目指すということです。
https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/PC/press_release/press_release-2022/20220824201608.html
■日野町、滋賀銀行と「デジタルを活用した公共サービスの共創に関する包括連携協定」締結
滋賀県日野町は、滋賀銀行と「デジタルを活用した公共サービスの共創に関する包括連携協定」を9/1(木)に締結しました。今回の協定は、デジタルを活用した今後の公共サービスを検討していくにあたり、サービスに加え、それを継続的に提供できる組織や仕組みづくりまで行うサービスデザインの思考法で、住民の理解や共感をもとに、住民を中心とした公共サービスを共創するものということです。
https://www.shigagin.com/news/topix/2822
■高知市、庁内のセキュリティ強化に向け職員PCに多要素認証基盤を導入
高知県高知市は9/7(水)に、庁内ネットワーク接続用PCの認証強化を目的とし、マイナンバーカード認証及びマスク顔認証も可能な高精度顔認証のプラグインを有する「多要素認証基盤EVE MA」(株式会社ディー・ディー・エス)を導入しました。これにより、共有端末における職員交代が効率化され窓口業務が円滑になったほか、職員の情報セキュリティに対する意識向上という効果も得られたということです。
https://www.dds.co.jp/ja/news/13874/
■都城市、ふるさと納税「ワンストップ特例」申請を完全オンライン化
宮崎県都城市は、ふるさと納税「ワンストップ特例」申請の手続きについて、スマートフォン上の操作のみで完了させるシステム「公的個人認証アプリIAM」をシフトプラス株式会社と全国で初めて共同開発し、8/12(金)にサービス提供を開始しました。これにより、今後更なる件数の増加が予想されるワンストップ特例申請に対して、寄附者の利便性向上と自治体事務の効率化を目指すとしています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000085339.html
【海外】
■欧州委員会、「デジタルヨーロッパプログラム」にウクライナも応募可能とする協定へ調印
欧州委員会は8/25(木)に、「デジタルヨーロッパプログラム」にウクライナも応募可能とする協定へ調印しました。これにより、今後ウクライナの企業や組織、行政は同プログラムにおける資金提供の募集に応募可能となります。特に、経済や社会全体でデジタル技術を幅広く活用するためのプロジェクトに対して資金援助や支援を申請することが想定されています。
https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/news/solidarity-ukraine-digital-europe-programme-open-ukraine-access-calls-funding
■英国CCAV、「コネクテッド・オートメイテッドモビリティ2025」公表
英国CCAV(コネクティッド・自動運転車センター)は、「コネクテッド・オートメイテッドモビリティ2025」を8/19(金)に公表しました。本文書は、自動運転車の安全な普及を支援するための政府のアプローチを説明するものです。政府のアプローチの説明根拠として9つの原則を提示するとともに、CCAVの2025年までのビジョンとして「自動運転車の配備を開始の上で人や物の移動方法を改善し、自動運転技術が活用される商業市場を創出する」ことを明示しています。
https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/1099173/cam-2025-realising-benefits-self-driving-vehicles.pdf
■英国CDEI、報告書「自動運転車における責任あるイノベーション」公表
英国CDEI(データ倫理・イノベーションセンター)は、報告書「自動運転車における責任あるイノベーション」を8/19(金)に公表しました。本文書は、政府が自動運転の導入を推進するために政策立案者及び事業者・トライアル実施機関が実施することを推奨するガバナンス事項等を取りまとめたものです。CCAVが、今後自動運転分野での法律を策定する際の参考とすることを想定しています。
https://www.gov.uk/government/publications/responsible-innovation-in-self-driving-vehicles
■豪DTA、「コーポレートプラン2022-23」公表
豪DTA(デジタル変革庁)は、8/31(水)に「コーポレートプラン2022-23」を公表しました。本計画の目的は、同国財務相及び政府を支援するためにデジタル・ICT戦略や政策の立案を主導し、投資アドバイスや戦略的調達を実行し、政府のDXを進めるための知見を提供し、全ての同国市民に利益をもたらすことです。「政府のDX戦略実行を主導する」等4つの戦略と、各戦略に対する具体的な施策が明記されています。
https://www.dta.gov.au/news/dta-releases-corporate-plan-2022-23
■台湾数位発展部、発足
台湾数位発展部(デジタル発展省)が、8/27(土)に発足しました。本省は、台湾におけるデジタル政策の変革推進やデジタル発展政策の総合的な計画、全ての台湾市民のデジタル・レジリエンス向上等の役割を担うこととしています。また「データ利活用の推進とデータエコシステムの構築」等8つのビジョンを掲げています。
https://moda.gov.tw/index.html
(編集) 行政情報システム研究所 研究員 小池千尋