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2018.02.09

2018年02月号トピックス データジャケットを用いた公共課題解決に向けたシナリオ創発

東京大学大学院工学系研究科 システム創成学専攻
助教 早矢仕 晃章
教授 大澤 幸生

1.“Data is the new oil”再び

2012年、“Data is the new oil(データは新しい石油である)”というフレーズが新聞、ニュース、Web上で踊った。この頃、データを資源と見ることで、新しい価値の発見や意思決定に役立てようという動きが世界的に活発になっていた。これがビッグデータのブームである。このブームによって、AGFA(Apple, Google, Facebook, Amazon)やTwitterに代表されるビッグデータホルダーが保有するデータに注目が集まり、データ流通の公平性、データポータビリティ、情報銀行などの仕組みが積極的に議論されるようになった。また、製造の現場では今まで取得されてきた膨大なデータに加え、センサーや計器の高度化によって、物・機械・人間の行動や自然現象が時々刻々と生成している高粒度で精密なデータが取得できるようになった。さらに、これらの情報をウェアラブルデバイスなどのセンサーで取得し、インターネットを介して様々な場所で活用しようとするIoT(The Internet of Things)も注目されるようになった。以上が、データはビジネスや意思決定における資源であり、21世紀の「石油」と言われた所以である。そしてその後、ビッグデータのブームは沈静化したかのように見えた。しかし近年、人工知能(AI)ブームの後押しもあり、再びデータが「石油」として注目を集め始めた。英国のエコノミスト誌では、2017年5月にデータを再び石油に例えて、“The world’s most valuable resource is no longer oil, but data(世界でも最も価値のあるリソースはもはや石油ではない、データである)”とし、data economy(データ経済)の動向についてまとめている。