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2020.08.07

2020年08月号トピックス ビジネスチャットが変革する自治体のコミュニケーション

株式会社トラストバンク
取締役兼パブリテック事業部長 木澤 真澄

1.大切なアナログを残すための適切なデジタル

ビジネスチャットを活用すれば、年間5万248時間を生み出せる―。
埼玉県深谷市がトラストバンクの自治体専用ビジネスチャット「LoGoチャット」を使った実証実験で試算した効果だ。電話、メール、紙といった旧来のコミュニケーション手段をLoGoチャットに変えると、職員1人あたり1日平均11分、年間44時間削減できることがわかった。全職員約1,100人で年間5万時間に上り、人件費にすると2億円相当だ(※1)。(図1)
非効率なコミュニケーションを見直し、年間5万時間を住民のための付加価値の高い仕事に使えるならば、ビジネスチャットが自治体にもたらす効果は大きい。

図1 LoGoチャットのPC、モバイル端末の画面イメージ

(出典)株式会社トラストバンク提供

自治体職員はともかく忙しい。地域課題は人口減少や少子高齢化で多様化かつ複雑化している。しかし、担い手となる自治体職員数は1994年をピークに2018年までの24年間で約55万人減少(※2)。職員一人あたりの業務量や範囲は大きくなった。弊社がふるさと納税サイト『ふるさとチョイス』で関わるふるさと納税担当職員が3つも4つも兼務しているのは珍しくない。
少ない人的資源で行政サービスを維持し、地域の持続可能性を守るためにも、自治体の働き方は変革を迫られている。
行政の仕事には「変えられないもの」と「変えられるもの」がある。新型コロナウイルスや頻発する災害への対応、まちの活性化に向けた政策立案、住民との対話など「公務員」にしかできない分野は変えられない。一方、紙やハンコの手続き、紙からデータを打ち込むだけの単純作業、大量の電話メモの処理といった非生産なコミュニケーションはデジタルで変えられる。
変えられない大切なアナログを残すため適切なデジタルを活用する一例が、ビジネスチャットだ。
(※1)「埼玉県深谷市とトラストバンク、自治体チャット『LoGoチャット』で職員1人あたり年間44時間削減の効果試算を発表」(2020年4月21日発表)
https://www.trustbank.co.jp/news/press309/
(※2)総務省「平成31年地方公共団体定員管理調査結果」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000608426.pdf