Hot Topics

2020.12.21

公共分野デジタル化動向(2020.12.21)

・デジタル・ガバメント閣僚会議第10回会合を開催(デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針等の案を提示)
・沖縄県の宜野湾市、名護市、石垣市がデジタルファースト共同宣言を締結
・米国政府がRPA活用の現状に関するレポートを公表

公共分野のデジタル化に関する興味深い「非公式」情報や、政府・行政機関からのお知らせなど、今ホットな話題を紹介します。 

【政府】

■IT総合戦略本部がデジタル・ガバメント推進標準ガイドラインを改定
今回の改定では、(1)感染症の拡大や大規模災害発生などの非常時のシステム開発の対応に関する記載の追加、(2)政府CIO補佐官、各府省が独自に採用した補佐官に関する記載を明確化、(3) 2020年9月末でのODB運用終了に伴う関連箇所修正の3点が行われました。
https://cio.go.jp/guides

■IT総合戦略本部がデジタル・ガバメント閣僚会議デジタル改革関連法案ワーキンググループの第4回会合を開催
本会合では、有識者より提出された「デジタル庁設置への提言」についての政府の対応案およびワーキンググループとりまとめ案について討議を行いました。取りまとめでは、デジタル社会の目指すビジョンを「デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」としたうえで、デジタル社会を形成するための大方針として、(1)オープン・透明、(2)公平・倫理、(3)安全・安心、(4)継続・安定・強靭、(5)社会課題の解決、(6)迅速・柔軟、(7)包摂・多様性、(8)浸透、(9)新たな価値の創造、(10)飛躍・国際貢献の10原則を提示しています。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/houan_wg/dai4/gijisidai.html

■IT総合戦略本部がデータ戦略の第一次取りまとめ案を公表
同案では、冒頭にコンセプトを示したうえで、喫緊に取り組むべきこととして基盤となるデータの整備、プラットフォーム整備、トラストの枠組みの整備の3つを、また引き続き検討すべき事項として、データ利活用の環境整備、民間データ活用の在り方およびデータ取扱いルール、インフラの整備・拡充の3つを挙げています。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/data_strategy_tf/dai3/gijisidai.html

■IT総合戦略本部がマイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループの第6回会合を開催
本会合では、ワーキンググループの報告案について討議が行われました。報告案では、冒頭に目標とするデジタル政府・デジタル社会の姿として「国民の満足度を最大化するデジタル政府・デジタル社会」を掲げたうえで、33の課題を解決するための取組方針を、マイナンバー関連システム整備、マイナンバーの利活用の促進、マイナンバーカードの機能強化、カードの発行促進と地方自治体における業務システム整備、デジタル化に関する制度、データの利活用とコスト管理の6項目に分けて示しています。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/kaizen_wg/dai6/gijisidai.html

■デジタル・ガバメント閣僚会議第10回会合を開催(デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針等の案を提示)
同会合では、デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針、デジタル・ガバメント実行計画等の案が提示されました。基本方針では、IT基本法の見直しの考え方およびデジタル庁設置の考え方が盛り込まれています。また、2020改定版のデジタル・ガバメント実行計画では、柱として(1)サービスデザイン・業務改革の徹底(BPR)、(2)国・地方デジタル化指針、(3)デジタル・ガバメント実現のための基盤の整備、(4)一元的なプロジェクト管理の強化等、(5)行政手続のデジタル化、ワンストップサービス推進等、(6)デジタルデバイド対策・広報等の実施、(7)地方公共団体におけるデジタル・ガバメントの推進が掲げられています。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/dai10/gijisidai.html

■IT総合戦略室がデジタル庁の創設に先行して実施すべきプロジェクトの推進に係る人材を募集
今回は情報発信基盤(デジタルサービス)、ベースレジストリ、ガバメントクラウド、ネットワーク一元化、新システム企画構想、民間人材リクルーティングの6つの分野で合わせて12職種が募集され、非常勤の国家公務員として採用されます。
https://recruitment.digital.go.jp/

■IT総合戦略本部がFacebookページ「デジタル改革共創プラットフォーム(β版)」を開設
今年度末までに整備する「デジタル改革共創プラットフォーム」の機能・要件や、自治体のシステム等について議論を深めることを目指して、自治体・省庁の行政職員が参加できるデジタル改革共創プラットフォーム(β版)を開設しました。
https://cio.go.jp/node/2724

■IT総合戦略本部がオープンデータAPIポータルを開設
オープンデータのさらなる利活用を促進するために、地方公共団体が公開しているオープンデータを、各団体の許諾と協力のもと、APIに変換して公開するオープンデータAPIポータルを試行的に開設しました。
https://cio.go.jp/node/2725

■NISCがサイバーセキュリティ協議会第四期構成員を募集
国の行政機関、重要社会基盤事業者、サイバー関連事業者等、官民の多様な主体が相互に連携し、サイバーセキュリティの確保に資する情報を共有する協議会の構成員を2021年1月29日金曜日まで募集します。
https://www.nisc.go.jp/conference/cs/kyogikai/index.html

■総務省がe-Govをリニューアル
今回のリニューアルにより、提供サービス別にウェブサイトを分けるマルチサイト形式を導入するとともに、提供サービスを棚卸しし、新たに利用者アカウントサービスと開発者ポータルサービスの提供を開始します。電子申請サービスについては、シンプルになるとともに利用環境が拡大しました。また安全性も向上されています。情報系サービスについては、パブリックコメントおよび文書管理についてはウェブサイトが独立することとなりました。
https://www.e-gov.go.jp/news/2020-11-16t1822240900_668.html

■農林水産省がMAFFアプリ上にリアル行政手続リポートBOXの機能をリリース
農業者等との直接のコミュニケーションツールであるMAFFアプリに、農業者や地方自治体の職員から農林水産省が所管する行政手続に対し、広く意見を募集するリポートBOXの機能をリリースしました。
https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/joho/201207.html

■農林水産省が2職種のDX人材の公募を開始
農林水産業・食品産業のデジタルトランスフォーメーションを一層強力に進めるため、プロジェクトの企画・立案・実行を担う「デジタル政策プロデューサー」、情報システムの構築を担う「システムプロデューサー/システムディレクター」の2職種で、即戦力となる人材を公募します。
https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/joho/201208_14.html

■総務省がBeyond 5G推進コンソーシアムを設立
「Beyond 5G推進戦略 -6Gへのロードマップ-」を産学官の連携により強力かつ積極的に推進するために「Beyond 5G推進コンソーシアム」を設立するとともに、産学官が共同して戦略的に知財取得・標準化に取り組むための「Beyond 5G新経営戦略センター」を設立します。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban14_02000484.html

■内閣府が各省庁の行政文書の電子的管理の取組状況を公表
46の行政機関を対象に10月中旬~11月中旬に行った調査の結果、電子媒体の正本・原本化は対象機関の文書の64%でほぼ実施されていることから、取組が概ね進んでいるとしています。
https://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2020/20201215/shiryou

■内閣府が地方公共団体における押印見直しマニュアルを公表
地方公共団体が押印の見直しを実施する際の参考として、国の取組について解説するとともに、押印の見直しに取り組む際の推進体制、作業手順、判断基準等を示すマニュアルを公表しました。
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/imprint/i_index.html?fbclid=IwAR2TWW_q-NFggRhaRVylRE4HO4AekTp-kg6axD8CH69RM8q8XAQs3s1Mil8

■国税庁が確定申告会場の入場整理券をLINEで事前発行
今回は確定申告会場への入場に時間枠が指定された入場整理券が必要となりますが、整理券の当日会場での配布に加えてLINEを通じたオンラインによる事前発行も行います。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kansensho/pdf/taisaku_02.pdf

■内閣府と内閣官房で脱“パスワード付きZIP”運用を開始 ファイル送信は内閣府のストレージサービス活用(ITmedia)
これまでは職員が外部向けのメールにファイルを添付して送信すると、ファイルのZIPファイル化からパスワードメールの送信までを自動化するシステムを導入していたが、このうちパスワードの同時送信機能のみを停止し、今後は内閣府のストレージサービスでファイルを共有するとしています。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2011/26/news106.html?fbclid=IwAR3MO_c2BGtJ32OHP6-kyWy1lQ0-sbm0qsua1TdNXpAvBpAPg5w9AXyX9Tc

■指名手配犯の今の顔をAIで予測―警察庁と民間3社が手を組んだ「TEHAI」の開発舞台裏(CNET Japan)
警察庁の指定重要指名手配被疑者の過去の写真と、この写真をもとにしたAIによる今の顔を掲載するウェブサイト「TEHAI」の開発プロセスについて、警察庁と開発を担当した3社(ヤフー、電通デジタル、PARTY)へのインタビューが掲載されています。
https://japan.cnet.com/article/35162915/

【自治体】

■広島県福山市が配水ポンプの稼働にAIを活用へ(中国新聞)
AIが過去3年分のデータや天候などに基づいて、24時間先までの水の需要を予測し、必要なポンプの稼働台数や、ポンプを停止するタイミングを提案します。この提案を基に、水道の供給に支障がないと判断すれば電力消費が高まる時間帯を狙って浄水場から配水池へのポンプの稼働を調整します。
https://this.kiji.is/703731461481858145

■沖縄県の宜野湾市、名護市、石垣市がデジタルファースト共同宣言を締結(スマートバリュー)
3市は既に一部の基幹システムの共同利用を行っていますが、この度コスト抑制のみならず住民満足度や効率性の高い行政サービスを実現するために共同宣言を締結しました。同宣言に基づき、業務の平準化・相互補完、標準インターフェースの構築を今後行います。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000049.000039479.html

■神奈川県が透過ホログラム「HoloD」を活用した実証事業を実施
面会制限を行っている介護施設において、透過ホログラムHoloD(ホロディ)を活用した施設の入所者とご家族等の面会などの実証事業を行います。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ie2/prs/r8645864.html

■栃木県那須塩原市がデジタル推進課を設置へ
同市では2021年度からシティプロモーション課を廃止し、同課の事務のうち移住・定住に関する事務以外を新設するデジタル推進課に移管します。デジタル推進課は行政デジタル化の総合的な企画・調整、マイナンバー制度の運用・総合調整、デジタル技術の導入に関することを扱うデジタル政策係、情報ネットワークの整備・維持管理、電算システムの導入・維持管理、セキュリティポリシーに関する事務を扱うシステム管理係、および市の情報発信の推進、広報誌の編集・発行、広聴、シティプロモーションの推進・調整に関する事務を扱う情報発信係で構成されます。
http://www.city.nasushiobara.lg.jp/02/documents/20201119_01.pdf

■神奈川県横須賀市がAIによる住民相談支援の実証を開始(三菱総合研究所)
音声認識やデータ分析などのAI技術を用いて、子育て相談や生活困窮者相談などの住民相談を受ける職員を支援する取組が開始されました。
https://www.mri.co.jp/news/press/20201215_2.html?fbclid=IwAR2kDGy67xVWYQ-Gaz0mHBXKez2lzreBcnunNTyN8Q7bWZiwqRzNNJQ2ioU

【海外】

■米国政府がRPA活用の現状に関するレポートを公表
同レポートは連邦政府のRPA活用コミュニティ(65超の機関から1,000人以上が参加)が作成したもので、以下の8つの知見を示しています。
(1)RPAプログラムの成熟度が今年度大幅に向上、(2)様々な業務領域においてRPAプログラムによって大幅な自動化を達成、(3)RPAプログラムは業務プロセス自体の改善も伴いながら実施、(4)RPAプログラムを進める中で自動化のソリューションに対する強いニーズがあることが明確化、(5)RPAプログラムはインテリジェントオートメーションの領域では効果がまだ限定的、(6)RPAプログラムの実施においてCoEを置くケースが増加、(7)RPAはIT投資における承認プロセスの課題を打開しつつあるが、なおハードルは存在、(8)RPAプログラムはさらに洗練された技術プラットフォームを採用
https://digital.gov/pdf/state-of-federal-rpa.pdf

■EUが相互運用性フレームワーク(EIF)に関するツールボックスを作成し公開
EIFの理論的背景に関するガイダンス文書、EIFの提言と原則を実行する際に必要な情報、および相互運用可能なデジタルサービスを構築する際の実務上のソリューションを盛り込んだツールボックスを作成し、公表しました。
https://joinup.ec.europa.eu/collection/nifo-national-interoperability-framework-observatory/news/eif-toolbox-live

■EUがデジタル社会と価値に基づくデジタルガバメントに関するベルリン宣言を発出
同宣言では、以下の7つの原則を示しています。(1)デジタル分野における基本的権利と民主的価値の有効性と尊重、(2)デジタル世界を形作るための社会参加とデジタルインクルージョン、(3)すべての市民がデジタル分野に参加できるようにするエンパワーメントとデジタルリテラシー、(4)すべての人を、EU内で便利にデジタル世界に安全にナビゲートし、認証し、デジタルで認識されるようにするためのデジタルガバメントとのやり取りにおける信頼とセキュリティ、(5)デジタル世界において、市民と行政が意思決定し、自らの意思で行動できる権能を確保するためのカギとなるデジタル主権と相互運用性、(6)安全・安心な技術デザインの研究における先駆的な役割を強化するための、公共部門における人間中心のシステムと革新的な技術、(7)グリーンディールに沿って自然の中での生活基盤を保存し、健康システムの持続可能性を強化する、デジタル技術を活用した強靭で持続可能なデジタル社会
https://ec.europa.eu/digital-single-market/en/news/berlin-declaration-digital-society-and-value-based-digital-government

■豪州政府がデジタルマーケットプレイスに新たなカテゴリを追加
政府横断的なケイパビリティ再利用を促進することを目的として、デジタルマーケットプレイスにプラットフォーム統合が新たなカテゴリとして追加されました。
https://www.dta.gov.au/news/new-digital-marketplace-category-platforms-integration

■豪州政府がデジタル変革戦略の改訂に関する意見を募集
今回の改訂では、新型コロナウイルスの流行に鑑み、緊急事態に迅速かつ適切に対応するためのデータおよびデジタルに関する能力向上に焦点を当てたものとなる見込みです。
https://www.dta.gov.au/news/help-shape-digital-transformation-strategy-20