Hot Topics

2021.04.16

公共分野デジタル化動向(2021.4.16)

・内閣官房IT室、「 RPA導入実践ガイドブック」「アジャイル開発実践ガイドブック」を公開
・神奈川県および国内民間企業等5社、保有する施設のバリアフリー情報をオープンデータとして公開
・英国王立商務局(CCS)、新しい契約フレームワークを発表

公共分野のデジタル化に関する興味深い「非公式」情報や、政府・行政機関からのお知らせなど、今ホットな話題を紹介します。

 

【政府】

■第6期科学技術・イノベーション基本計画が閣議決定
内閣府が主催する「総合科学技術・イノベーション会議」で検討されてきた「第6期科学技術・イノベーション基本計画」(令和3~7年度)が、3月26日に閣議決定されました。本基本計画では、「我が国が⽬指す社会(Society 5.0)」として、① 国⺠の安全と安⼼を確保する持続可能で強靱な社会 、② ⼀⼈ひとりの多様な幸せ(well-being)が実現できる社会、掲げています。
https://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/index6.html

 

■内閣府ほか、自治体・首長向けの「スマートシティガイドブック」第1版(ver.1.00)を公開
内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省、およびスマートシティ官民連携プラットフォーム事務局は4月9日、「スマートシティガイドブック」第1版(ver.1.00)を公開しました。スマートシティに取り組む地方公共団体、公民連携の協議会等を支援するため、先行してスマートシティに取り組む地域における事例等を踏まえつつ、スマートシティの意義・必要性、導入効果、及びその進め方等について、ガイドブックとしてとりまとめています。
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/smartcity/index.html

 

■内閣官房IT室、「 RPA導入実践ガイドブック」「アジャイル開発実践ガイドブック」を公開
内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室は、「RPA導入実践ガイドブック」「アジャイル開発実践ガイドブック」を公開しました。同室では行政のサービス・業務改革にともなう政府情報システムの整備および管理について標準ガイドライン群を整備しており、本ガイドブックは、そのうちの一つである「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン実践ガイドブック」の別紙に位置づけられるものです。
https://cio.go.jp/guides

 

■「国家公務員テレワーク・ロードマップ」が改定
国家公務員テレワーク・ロードマップが各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議において改定されました。本府省・地方支分部局等ともに、令和7年度までに、テレワークを活用することで「新しい日常」に対応し、いかなる環境下においても必要な公務サービスを提供できる体制を整備することを目指しています。
https://cio.go.jp/node/2757

 

■農林水産省、「農業DX構想」をとりまとめ
農林水産省は、デジタル技術を活用して効率の高い営農を実行しつつ、消費者ニーズをデータで捉え、消費者が価値を実感できる形で農産物・食品を提供していく農業(FaaS: Farming as a Service)への変革の実現を目的として、「農業DX構想」を取りまとめました。
https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/joho/210325.html

 

■経済産業省、「公共施設・自治体窓口におけるキャッシュレス決済導入手順書」(第2版)を取りまとめ
経済産業省は、一般社団法人キャッシュレス推進協議会からの提供を受け、同協議会が2019年度に策定した公共施設・自治体窓口におけるキャッシュレス決済導入手順書をさらに充実させた手順書(第2版)を取りまとめました。第2版では、これからキャッシュレスを導入する自治体がイメージしやすいように、必要手続や留意点について整理したほか、先進的にキャッシュレスを導入している自治体の事例を掲載することで、具体的な取組につながるように構成しました。
https://www.meti.go.jp/press/2020/03/20210331008/20210331008.html

 

■経済産業省情報プロジェクト室、noteを開設
経済産業省情報プロジェクト室は、noteを開設し、DXにまつわる情報の発信を開始しました。より多くの国民や中小企業の方々にもDXを認知拡大することを目的としています。
https://note.jp/n/na8f9a8c23d67

 

■国土交通省、「MaaS関連データの連携に関するガイドライン」を改訂
国土交通省は、昨年3月に策定した「MaaS 関連データの連携に関するガイドライン」を改訂し、「MaaS 関連データの連携に関するガイドラインVer.2.0」として公表しました。データの仲介方式に関する記載の追加、カメラ画像等の利用に係る個人情報保護対応の追記、ニーズが高いと考えられるデータ項目の具体化・追加などが主な変更点です。
https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo12_hh_000158.html

 

■国土交通省、インフラDX本格始動
国土交通省は、インフラ分野の DX の推進のため、現場、研究所と連携した推進体制の構築や、DX 推進 のための環境整備、実験フィールド整備、3 次元データ等を活用した新技術の開発や導入促進、これらを活用する人材の育成や施設整備を推進しています。こうした環境整備が概ね構築され、今年度よりインフラDX が本格的に始動しました。
https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_000798.html

 

■国土交通省、全国の人流オープンデータを公開
国土交通省は、人の流れのデータ(人流データ)を用いて人流動態や変動状況を把握・分析し、地域経済等の現状把握や回復へ向けた施策検討等に資するため、携帯電話端末等の位置情報データより得られる広域な人流データ(1kmメッシュ単位のデータ、市町村単位発地別)の公開を開始しました。
https://www.geospatial.jp/gp_front/content/c970b16e-e875-4b11-b5a7-653d26e23ceb

 

■国土交通省、「Cyber Port(サイバーポート)」の運用開始
国土交通省港湾局は、民間事業者間の港湾物流手続を電子化することで業務を効率化し、港湾物流全体の生産性向上を図る「港湾関連データ連携基盤」の構築を進めてきましたが、同基盤の名称を「Cyber Port(サイバーポート)」とし、4月1日から第一次運用を開始しました。港湾物流業務の効率化、コンテナ物流の生産性向上、データの提供・活用により、港湾物流全体の生産性向上を目指すものです。
https://www.mlit.go.jp/report/press/port01_hh_000233.html

 

■日本銀行、デジタル通貨の実証実験を開始
日本銀行は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の基本的な機能や具備すべき特性が技術的に実現可能かどうかを検証するため、実証実験(概念実証フェーズ1)を開始しました。本フェーズでは、システム的な実験環境を構築し、決済手段としてのCBDCの中核をなす発行、送金、還収等の基本機能に関する検証を行います。実証期間は1年を予定しています。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2021/rel210405b.pdf

 

■JNTO、訪日客の旅行動態データを公開
日本政府観光局(JNTO)は、独自に収集した旅行動態を分析するためのデータの無償提供を、『日本の観光統計データ』サイト(https://statistics.jnto.go.jp/)内のメニュー「訪日旅行の動態を調べる」にて開始しました。訪日客の移動経路・滞在・宿泊や訪問地(1km 四方単位)を把握でき、新規・リピーター別や地域別など、分析目的に合わせて調べる範囲を設定することが可能です。
https://www.jnto.go.jp/jpn/news/press_releases/pdf/20210323_2.pdf

 

 

 

【自治体】

■群馬県、「群馬県庁DXアクションプラン」を策定
群馬県は、「群馬県庁DXアクションプラン~日本最先端デジタル県へ~」を策定しました。本計画は、新・総合計画において掲げる『令和5年度(2023)までに日本最先端クラスのデジタル県』を達成するため、行財政改革大綱からDXに係る取組を抽出し、3年間の具体的取組と工程を定めて進捗管理を行うものです。
https://www.pref.gunma.jp/07/b27g_00040.html

 

■埼玉県、「埼玉県デジタルトランスフォーメーション推進計画」を策定
埼玉県は、行政のデジタル化や社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上での基本的な方針や取り組むべき施策を定める「埼玉県デジタルトランスフォーメーション推進計画」を策定ました。「行政手続きのオンライン化」「デジタルサービスの充実」など9つの基本政策、「セキュリティ及び個人情報の適正な運用」「利用の機会等の格差の是正(デジタルデバイドの解消)」など3つの共通施策から構成されます。
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0104/ai/dxplan.html

 

■東京都、デジタルサービス局を発足
東京都都は、デジタルの力を活用した行政を総合的に推進し、都政のQOSを飛躍的に向上させるため、新たにデジタルサービス局を設置しました。デジタルサービス局は、「各局区市町村のDX推進を技術面からサポート」、「デジタルに関する全庁統括」、「デジタル人材の結集と都庁職員の育成」の3つの機能を中心にデジタルガバメント・都庁の実現に寄与していきます。
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/tosei/digitalservice/soshiki/index.html

 

■神奈川県および国内民間企業等5社、保有する施設のバリアフリー情報をオープンデータとして公開
国土交通省は、神奈川県および小田急電鉄株式会社、株式会社セブン&アイ・ホールディングス、京浜急行電鉄株式会社、株式会社横浜銀行、株式会社東日本銀行の6団体と連携し、各団体が保有するバリアフリートイレやエレベーターの情報といった店舗等施設のバリアフリー情報をオープンデータとして公開しました。民間企業と連携した取組としては初の試みです。
https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo23_hh_000128.html

 

■山梨県、「山梨県デジタルトランスフォーメーション推進計画」を策定
山梨県は、「山梨県ICT・データ活用推進計画」を改定し、県が取り組む施策の基本的な方針や個別施策についてとりまとめた「山梨県デジタルトランスフォーメーション推進計画」を策定しました。「行政のDX」「産業のDX」「暮らしのDX」それぞれについて、取組方針と取組内容を定めています。
https://www.pref.yamanashi.jp/dx/dx_plan.html

 

■鳥取県、「鳥取県情報技術活用推進計画 ~Society5.0推進計画~」を策定
鳥取県は、AI、IoT等の最先端ICTやデータの積極的な利活用を通じ、県民が豊かさを実感できる鳥取県の実情にあった鳥取県版Society5.0の実現を目指す「鳥取県情報技術活用推進計画 ~Society5.0推進計画~」を策定しました。鳥取県のおおむね10年後の姿を県民と共有し、県政運営の基本となる「鳥取県の将来ビジョン」(2020(令和2)年度改訂)の実現に向け策定するものであり、ICTや官民データの利活用を総合的に推進するための計画として位置付けています。
https://www.pref.tottori.lg.jp/296892.htm

 

■前橋市、「前橋市DX推進計画」を策定
群馬県前橋市は、平成13年3月に策定した「前橋市情報化推進基本方針」を見直し、「前橋市DX推進計画」を策定します。計画では8つの重点事業を定め、そのうち「行政手続のオンライン化」では2025年度末までに全ての行政手続をオンライン化することをKPIとして設定しています。
https://www.city.maebashi.gunma.jp/gyosei/6/1/1/14494.html

 

■須坂市、デジタルファースト宣言
長野県須坂市は、新たなICT技術を積極的に利活用し、効率的な行政運営をするとともに、市民が便利で快適な生活を送れるまち、地域コミュニティを目指し、 「デジタルファースト」 で取り組むことを宣言しました。情報部門・行革部門・財政部門等で構成する「DX推進プロジェクト(仮称)」を立ち上げ、デジタルを活用し、市民サービスの向上、効率的な行政運営、効果的な情報発信を行うことを目指します。
https://www.city.suzaka.nagano.jp/contents/item.php?id=606287b878c8e

 

■浜松市、「浜松市デジタル・スマートシティ構想」、「浜松版 MaaS 構想」、「浜松市デジタル・マーケティング戦略」を策定
静岡県浜松市は、”デジタル・スマートシティ浜松の推進”にあたり、「浜松市デジタル・スマートシティ構想」、「浜松版 MaaS 構想」、「浜松市デジタル・マーケティング戦略」を策定しました。そのうち「浜松市デジタル・スマートシティ構想」は、「オープンイノベーション」「市民起点/サービスデザイン思考」「アジャイル型まちづくり」の3つの視点で推進することを掲げています。
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/dsc/sakutei/210318.html

 

■福岡市、新しい電子申請システムの運用をスタート
福岡県福岡市は、従来の電子申請システムを刷新し、新しい電子申請システムの運用を開始しました。住民票の写しの交付申請、高齢者乗車券の申請などがスマートフォンでできるようになります。一部申請の本人確認はマイナンバーカードを使用します。また高齢者乗車券の手続きについてはアジャイル型開発で実施し、順次アップデートを行います。
https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/81807/1/kaiken_denjisinnseisisutemu_dx.pdf

 

 

 

【海外】

■英国王立商務局(CCS)、新しい契約フレームワークを発表
英国王立商務局は、バックオフィス系ソフトウェアとソフト開発・実装サービスについて、新しい契約フレームワークを発表しました。オンプレミスで行っていた作業をクラウドに移行する傾向が高まっていたことを受けたもので、「CloudFirst」や「OneGovernment Cloud Strategy」などのポリシーをサポートしやすくなります。
https://www.crowncommercial.gov.uk/news/discover-our-2-new-software-frameworks

 

■豪州デジタルトランスフォーメーション庁(DTA)、新しいクラウドマーケットプレイスを発表
豪州デジタルトランスフォーメーション庁は、新しいクラウドマーケットプレイスを発表した。クラウドマーケットプレイスは、3月31日に期限切れになったクラウドサービスパネルに代わるものです。マーケットプレイスのクラウドオファリングは「クラウドコンサルティングカテゴリ」「クラウドサービスカテゴリ」の2つに分類されます。
https://www.dta.gov.au/news/dta-launches-new-cloud-marketplace

 

(編集) 行政情報システム研究所 主任研究員 平野隆朗